ハート短編夢

□迎春の幸せ者
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現パロ夢 。最近付き合ったばかりのローと夢主の話です。

「迎春の幸せ者」

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私は肌寒さに震えながらも…布団から何とか這い出て暖房のスイッチを押し、それからカーテンを開けた。

窓からは眩しい光が差し込んだが、あまりの人の多さに驚き、直ぐ様カーテンを閉めた。

去年より多いッ!!

昨夜から街のみんなはお祭り騒ぎで…私が床に就いたのは朝の3時半くらいだった。

私の家の近くには…たまたま、この地域では有名な神社があった為に参拝に来た人の声が部屋まで届いてくる。

その結果…普段より騒がしい朝に早く目が覚めてしまった。

今日はそう…
正月である。

街は新しい空気に包まれ、まるであたかも何か昨日とは全く別の日だと言わないばかり。

きっと…彼に言わせてみれば、

「1日違うだけで、変わったとは言えねェだろ。変わったんじゃなくて、これを機に変わるって言うなら、少しはわかるが…。」

と言われてしまいそう。


それでも…
私にとっては
間違いなく新しい1年であり、今日は素敵な日。恋人である彼との今年はじめての日…。

ピンポーン

チャイムの音がして誰がきたんだろうと思い玄関の小さな丸い穴から覗いてみる。
すると…ひどく寒そうにしたローがそこには居た。

「おい…そこに居るのは分かってるんだ…開けろ。」

さながら警察を彷彿とさせる言葉を吐いた彼は不機嫌そうに こちらを見る。

「ちょっと…ロー!!!待ち合わせは昼からじゃなかった?」

いくらなんでも早過ぎる。
もともと彼は遅刻とかする人ではないけれど…
予定より5時間も早い。

「…気が変わってな。いいじゃねェか…事前行動の方がいいだろ?」

「事前行動って5時間も早い。ま、まだ…化粧もできてな…。」

「あー化粧。寝る時すっぴん見てるんだから、問題ねェだろ?それより部屋にあげろよ…。こんな寒いとこで待たせんのか?」

「わかったから、ちょっとだけ待って、本当に少ししたら開けるからッ。」

こうして、急きょバタバタしながら
部屋にあげる支度をして…
なんとか鍵を開ける。


「それにしてもロー…本当に早いけれど…どうしたの?」

「早めに行かねェと渋滞に捕まると思ってな。」

「なるほど…」


納得。

確かにこの時期の渋滞は恐ろしい。
みんな正月早々でもちゃんと
外に出て行くのだなぁ…なんて
感動したり…。
そして、自分のこの引きこもり具合に絶望をしたり。

「そういう訳だ。早めに準備を済ませろよ…。」

そしてリビングでくつろぐロー。
そんな彼にお椀を差し出し…

「昨日すでに食べているかも知れないけれど…。お雑煮食べる?」

すると、彼は少し嬉しそうな表情をして、
お椀を…雑煮を受け取った。

「いや、昨日は食べてねェ。朝抜かしてきたらから、ちょうど…腹が減っていたところだ。」

「今から化粧するから…ちょっと待っててね。」

そう言って、私は化粧にとりかかる。


ようやく化粧を終える頃には…
綺麗に空になったお椀が
ローの前に居た。

私が現れた事に気づいたローは

「お前の作った雑煮。…美味かった。今度は別のも食いてェな…。」

「また今度の時は弁当作っていくね!」

「ああ。…そりゃァ…楽しみだな。」


なんだか、ドキドキする。
普段はクールなのに…不意にみせる
あどけない笑顔が胸を熱くさせた。

次は好きな人にお弁当を作ろう。

ローが喜んでくれるなら…なんでもしたく
なってしまう。


「あ…、ロー。もう私は行けるばっかり!」

そう言うと、彼はソファーから立ち上がった。

「お椀…どうすりゃァいい?」

「いいよ、いいよ!洗っておくから、ローは先にいってて」

こんなやりとりをして私は
お椀を洗った後、部屋を出た。
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