ハート短編夢

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「船長…私どうしたら可愛くなれるんですかね?」

「知るか…自分で考えろ」

「ねー船長ー。化粧を濃くするば…船長が私への見方を変えてくれたりしてるんですかね?」

「ハァ…。そういうのって本人に言わず、ある日突然ってのが普通なんじゃねェのか?」

「ですよね〜。ちょっと作戦ミスですね」

「お前…」

「はい?」

「馬鹿だろ…」


そう。ここで会話が途切れてしまって…
いや、会話と言えたかどうか分からない。
だって…船長と私は実際にこんな会話をした訳ではなく…

先ほどの一連の会話は
あくまで…

私がみた夢なのであるから。


夢落ち。


「ペンギンさん、どう思いますか?これは神様からのお告げですかね?化粧を濃くしある日突然驚かせればいいっていう事ですかね?」

夢にみた話を医学書を読んでいたペンギンさんに話してみた。すると…ペンギンさんは読んでいた医学書をパタンと閉じて、大きく溜め息をついた。

「あのなぁ…」

「いやそうな顔ですね」

「夢の話って…どうでもいいだろ。よく覚えてられるな…」

「そ、そりゃぁ、大好きな船長が出て来た夢なんですから!覚えてられるに決まってますよ」

「夢は夢だろ。それに…お前、船長と話をそんな軽いノリで言えた事なかったろ。まず、見た目どうこうより普通に話しかけるところからじゃないか?」

ぎ、ぎくり。

そうなのである。

ペンギンさんの言う通り、
船長を前にして普通に話せた事は
一度もなかったりする。

恐れ多過ぎて…大した会話なんかした事はなく、
たまに居合わせて、挨拶をする程度で…
船長にとってみたら、クルーであっても…
それ以外の認識はまずない。

下手すると…

「俺の船に女はいない…いや、…まてよ…1人居たか?」

と言われそうなくらい
私の存在感はきっと薄い。

「あー。どうしよう。でも…こう、み大して強い訳でもなく…何か目にとまる要素がなくて、普通すぎる私が船長に話しかけるなんて!!出来る訳が!」

「いや…お前は普通じゃない気が…」

「普通じゃないってどこがですか!?」

嬉々として、ペンギンさんに近づくと…
ペンギンさんはゆっくりと私の視線より上を指しながら
一言…言った。


「…頭が」


……

………


「あーー!!なんか、こう、なんか…船長に近づきたい、もっと女性としての何か…そういった面で目にとめてもらいたい」

私がペンギンさんの部屋を
「うわぁああ」
なんて声をあげながら出て来た時に
たまたま、居合わせた仲の良いクルーである
シャチくん
が話を聞いてくれると
言ってくれたのであった。

「必死だなぁー」

「シャチくん、お願い、ちょっと…買い物とかに付き合ってもらってもいい?」

「名無しさんが、俺のセンスに任せてくれるって言うなら、劇的BeforeAfterしてやるぜ」

「おお!!お願いします!!」

こうして…
次の島で船長からの見方を変えるべく
シャチくんと一緒に買い物をして
劇的BeforeAfterをする事になったのである。


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