白ひげ短編夢

□don’t cry
2ページ/4ページ



あぁ、どうすりゃ分かってくれるんだろうな。

俺は考えてみる。


そもそも、幽霊っていうのか。

この俺の今の状態。


俺は幽霊なんて信じていなかったけど、幽霊になってはじめて信じられる。


幽霊は本当にいるんだなァって。



「えっぐ、うぅう″」



あぁ、どうすりゃいいんだ。


どうすりゃあ、俺の思いが伝わるんだ。



体も声も出ねぇ俺にできる事・・・


ん、


待てよ、



この船にもやたらと霊、霊って騒いでたやつがいたなぁ〜



ふと思い出し俺は3番隊員の部屋をあたってみる。



確か・・・



ランディーっつー男が幽霊見えるって言ってたなぁ


あん時

俺は、幽霊なんていねぇって笑ってすましたが、


今となっては、それにかけたい。





俺はそのまま扉をすり抜けて、3番隊員のランディーがいる部屋にいってみる。


すると、



「うわぁあああ、サッチ隊長ぉおおお」


俺の顔をみた途端、尻餅をついて声をあげるランディー。


そりゃあ俺がいくら幽霊になっちまったからって
そんな驚く事はねぇーだろ?


少ししょんぼりもするが、俺の姿が見えない他のもんよりはショックは少ない。

むしろ、これは喜べる事だ。



″なァ、頼みがあんだけど″


はじめは驚いたものの、俺がそう声をかけると真剣に俺にむきなおるランディー



「ど、どんな頼みですか?」


少しビビりながらも俺に耳を傾けてくれた。

俺はニヤリと笑い



″悪ィな、少し体を貸してくれねぇか?″


と聞いてみる。


昔、このランディーってやつから聞いた事がある。

幽霊は人の体の中に少しの間入る事ができるって。




「そのまま、俺の体を乗っ取る気じゃないでしょうね?」


少し不安そうに聞くランディー。



″そんな事しねぇよ。ただ俺はあいつに、名無しさんに一言伝えてェんだ。思い残す事はそれだけなんだよ″



俺がボソリと呟くと



「分かりました。体をお貸ししましょう。ただし時間はあまりないです。あんまり長く俺に憑いていると、おれの体がもたず俺死んじまうんで気をつけて下さいよ」



″あぁ、分かった。すまねぇな″


俺はそう声をかけ、目を瞑るランディーの中に入る。

なんとも言えない感覚になる。


俺が入る瞬間、ランディーの体が少し痙攣したので
一瞬不安に思い抜け出すが、


「大丈夫です、早く」


とせかされ、ようやく俺はランディーの中に入った。







「あーーーーー」




俺は声を出す。



この声ちゃんと聞こえてんのかな?


ゆっくり目を開け自分の手を見る。


俺と違ってめちゃくちゃごつい手。



そして、傍にあったコップを掴んでみた。



「おぉ、透けねぇ!!!持てる!!!」


こんな事に
感動している時間はないと気づき、
俺はあわてて名無しさんのもとにかけつけた。





.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ