ブチャラティ 長編夢

□21.Sospetto III
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ある男は考えて居た。
相手は危険な奴らだ。
だが、愛しの彼女を誘拐され、
監禁されている。

それを黙って指をくわえて見ているのは
男じゃないと思った。

ここで勇気を出さないで、
何が彼女の事を愛してるだ、と。
彼女も俺を待っている。
だからこそ、危険を冒す価値はある。

そして、俺は彼女が監禁されている場所に潜入した。
しかしどう言うことか彼女は楽しそうに笑顔を振りまいて居た。

その相手は
リストランテでよくいる目障りな男の仲間の男だった。

目障りな男について言うと…
あいつを見る彼女の目は本当に嫌だった。
俺と言う男がいるのに、どうしてだ。と彼女を何度も心の中で責めてた。俺は優しい男で通っているから、本人にはこれは伝えないでおく。

彼女があまりにも危ないやつらとつるむようになって、
俺はすごく心配になった。
今までは、一人から二人だったのに、その危ないやつらの人数が増えたから、余計に彼女が危ない目に会う確率が増えた気がするんだ。

そろそろ、もう、関わらないでほしい。
そうじゃないと何かあった時どうしようもないんだ。

俺は彼女が仕事が終わった後に見守る事が多くなった。
何かあった時は俺がすぐに助けに行けるようにと。

俺はとある能力を持っているおかげで、
彼女の部屋に入った事がある。
彼女自身はスヤスヤと寝ている。
勿論、俺は紳士なので決して眠っている彼女に悪戯なんかはしない。

ただ、彼女が幸せそうに眠っている様子を見れたらそれで良かった。


ある日、俺は信じられない光景を目にする。
彼女は眠る前にスタンド≠出したんだ。
スタンドは一瞬現れたが、すぐに消えてしまい、彼女はそのままゆっくりと眠りについた。

しかし俺は彼女がスタンド使い≠セと言う事にひどく興奮した。彼女と俺はまさに運命の赤い糸で結ばれているんじゃないかと思ったんだ。

しかし、ある日それは裏切られる。


また、あれの目障りな男のせいだ…。
パッショーネという組織の男、
つまりギャングの男だ。
ブチャラティという名前は嫌でも街でよく聞く。
そんな危険なギャングと関わるなんて
耐えられない。

俺はどうしようもなくなり、彼女に手紙を出した。

だが、不思議な事に彼女は返事をくれない。
せめて俺が書いた内容を読んだら、やつらに近づかなかったはずなのにおかしいと思った。

そして、俺は…
彼女が悪の手に渡らないようにこの手でしっかりと守ろうと思った夜に彼女は監禁されたのだ。
姑息な手を使ってタクシーの運転手を買収して連れて来させるとは…
なんてッ手口が汚いんだと思った。
だが、運がいい事に俺はそのタクシーの中に一緒に乗る事が出来たんだ。

タクシーから降りた先があの男の家だったので、俺はどうしようもなく気が狂いそうだった。
俺はまた彼女に向けて手紙を書く事にした。

散々一晩苦しみ悩んだが、彼女に限って俺を裏切った訳ではないと信じたい。だが溢れる感情を整理ができない。思いつく限りの俺の想いを彼女に知ってもらおう。

俺は手紙を何通も書いた。

一晩経つと、俺もすっかり彼女がどう言う状況下理解ができるようになった。

彼女は完全に監禁されてる。奴らに笑顔を見せるのも脅されてるからだ。きっと殺されないか不安で仕方なく強がっているのだろう。

かわいそうに…。


俺がすぐに助けるから待ってて。
可愛いソフィア。

王子様が迎えに行くよ。



男は不気味に笑った。

2019/07/15
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