ロー長編連載夢

□15シャボンディ諸島にて03
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お酒を飲み干して、
ガンと机に置く。

「くよくよしてても…仕方ない」

「お嬢ちゃん?」

しばらく鬱々していたけど…
考えても仕方がなく、
厭な事を全部吹き飛ばす事に決めた。

「こうなったら…、食事をしにいこう」

「おや、食事かい?」

「はい…食事しにいきます」


マスターは普通に食事かい?と聞くけど、
今回は…吸血鬼の食事。

船に戻れば、輸血パックがまっている。
それにベポもいるはず…。

私は、
ややお酒が回って
フラフラする足で、
席を立つ。

何を言わずに席を離れるのは、
クルーとして問題ある行動。
だから…

一応ペンギンさんには言っておこう…

目に留まったのは…
先ほどの船長と同じような感じに
店の女の人の肩手を回しているペンギンさん。

邪魔しちゃ悪いかな…

でも、これ以上ここにいたら…
気持ちも晴れない事は確実だった。
場所を変えればリフレッシュできるかも知れない。


「ペンギンさん。私、船に戻りますね…、みんなは構わずそのまま楽しんでいて下さい」

「ラミア…船に戻るってッ」

「喉が少し…渇いてきちゃって…」

ペンギンさんに言うと、ペンギンさんの周りの女の人が
クスクスと笑った。

「えっと、船長さんのお気に入りのクルーのラミアちゃんだっけ?…喉が渇いたならいくらでもお酒がここにあるわよ?」

お店の女の人はクスクスと笑う。
少し嫌みで「船長さんのお気に入りのクルー」と
言ってきたのだろうけど…

それよりも…
確かにおかしな発言をしていると気付きカァーっと顔が赤くなる。

うわぁあ、変な子だって思われちゃった。

ペンギンさんは、私の言わんとする事がわかったようで…


「あぁ。少し酔いすぎたようだな。船まで俺が一緒にいく」


とその場を誤摩化しながら、
着いて来てくれると言ってくれた。


「ええーいっちゃうのぉお?」

「私、今夜どうかなぁって誘おうと思ってたのにぃい」


女の人は残念そうにこちらを見る。
胸の谷間からちらつかせている、宿の鍵が妙に色っぽくて…女の私でもドキドキしてしまう。

ペンギンさんは…良いのだろうか。


「あの、私ひとりで大丈夫ですよ!帰れます!」

「夜は危ない。変な男に狙われたらどうするんだ」

「私は夜は強いので大丈夫です!!自信もって言えますよ私!夜は強いんです!!!」


言って…

はっとする。


「夜は強い…ですって…」

「見かけによらずねぇ…」


ひそひそとした声が筒抜けになり、
顔が真っ赤になるのが分かる。

気付けば、ペンギンさんも驚いていて…


「あの、変な意味じゃなくて…その、あの…」

恥ずかしい。

また、変な事を言ってしまった。

夜は強いって、言葉。

勘違いされちゃってる。

ああぁあッ…


自分のばか、なんで…いつも…


「相当酔ってるな。ほら、行くぞ」


恥ずかしさで涙目になりながらも…
ペンギンさんに半ば引きづられるように
店を出る。


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