ロー長編連載夢

□11静寂の真夜中
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部屋に戻った私は顔が熱くなるのを感じながら、
床にへなりと座り込む。

頭に鮮明に焼き付いている船長の言葉。

「こいつは…俺のもんだ」

そして、船長が私に回した手…

私は自分の肩が熱くなるのを感じた。船長に触られていた部分。

驚いた事に…

船長に肩を触られるのも、髪を触られるのも嫌じゃなかった 。

ただドキドキして耐えられずに部屋まで戻ってきちゃったものの…




え??




自分から「ドキドキ」という言葉が出て来た事に
驚き…、胸が今も苦しくなっている事が不思議だった。
心臓の上にそっと手をあててみる。

脈打つ鼓動は…
いつもより早く、
痛みもあり…
なんだか息苦しい。


ドキドキしている

今唐突な自分の状況に
戸惑っていた。

まさかとは…思っていたけど…

もしかして…私は…

船長がただ単に″好き″ではなく、

″異性″として好きになってしまったのかも知れない。


私…、船長に…
恋してしまったのかな。


かれこれ3年は恋という恋はしてこなかった。

1年から2年の間は、舞台での踊りに熱中して
恋をすることもなく…
去年から今年にかけての
ちょうど1年前から…
ヴァンパイアに噛まれ、半分人間では
なくなってしまって
恋なんか決してできなかった。

ずっと…人恋しさはあったけど…。


ふと、脳裏に…
半吸血鬼になってから
出会い、去っていった人達が浮かぶ。


もしかして…
この気持ちは恋なんかじゃないのかも…
今まで、寂しかったからこそ…
私に優しくしてくれる船長に出会って、

恋をした気になってるんじゃないかなぁ。


自分の気持ちが
よく…分からない。


私は机に向かっていたものの、
月明かりに照らされたベッドに移動し
ゴロンと寝転がってみた。


遠くの方で、まだみんなが騒いでいる声が聞こえて来る。

本当に、みんな良い人で…
私に分け隔てなく接してくれる。
明るく陽気で…
そんな人達の仲間に今日船長のおかげで
入る事ができた。


だから、私は船長の事を好きになって
しまったのかも知れない。

それは恋と呼べるのか…
感謝からの好意なのか…

分からなかった。


ベッドで寝返りをうつも…
寝れる訳がなかった。


だって…、私にとって…
この時間が…一番目が冴えているのだから…。



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