ロー長編連載夢

□14シャボンディ諸島にて02
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カラン カラン…

扉を開けると、
その瞬間に広がる
強い香水と
お酒…
そして、煙草が混じった匂い。

店は少しうす暗く、
露出の多いドレスを着た
美人なお姉さんが…
いっせいにこちらを見た。


「ふふ、ハートの海賊団よ」

「あら…噂のルーキーの…」

「死の外科医″トラファルガー・ロー″の…」


店の奧にいた女性のひそひそとした声が聞こえて来る。

きっと、みんなには聞こえてないのかも知れない。
それでも夜になるにつれ、半吸血鬼の特性が顕著に現れ…
嫌でも聞こえて来てしまう声。

そもそも、私が来るのには、
場違いだった。

それでも、

店に入る前に…クルーのみんなが散々心配の声をかけて
くれて、それが十分嬉しかった。

心配の言葉に対して
「私に構わず楽しんで下さいね!」
と笑顔で言った為、みんなも安心して
お店に入る事ができたようで
良かったなぁ。


奥には何人もの女の人に囲まれてお酒を飲んでいる
男のお客さんがいた。

だらけた顔、手は店の女の人の腰にまわされ…、
女の人もぴったりと身体をよせお酒を注いでいる。

明らかに…ここは男の人がお酒を飲むところであって、
女の私が来るのは…

なんて、場違いなんだろう。

そんな場所だった。

クルーのみんなを見ると…
やはり口元は少しだらしないような、
そんな分かりやすい下心がある表情。

船長は相変わらずの無表情だったけれど…、
でも、船長も男の人だし
きっと、手を出すんだろうなぁ…
とぽつりと思う。

でも、それは私にはどうしようもない事で、
お店にいる女の人達は、
とっても美人で
女性の魅力がこれでもかというほど…あふれ出ていて…。


「よくぞお越し下さいました。船長さんはこちらにどうぞ…」

「おい…ラミア、いくぞ」

突如、船長に声をかけられ、
意識が戻る。

船長だって、
女の人に囲まれながら飲むのに…
そんな間近でなんて、
耐えられる自信がなかった。

「え?…その、私は隅っこでお酒飲んでます」

「俺の目の届くところにいろ」

店内をきょろきょろと見回すと…
バーカウンターになっているところがあった。

「…えっと…あそこにいます」

そっと指を指すと、
船長が少し心配そうな表情でこちらを見る。

「そうか…、お前さっきから大丈夫か?」

隠しているつもりだったのだけど…
表情に出ていてしまっていたのだろうか。

こんなサングラスごしだし…
決して気付かれないと思っていたのだけど。

「船長は、私にかまわず楽しんでいて下さい」

精一杯、笑ってみせると…
船長は、ようやく私の側から離れ、
案内された広いソファーにどさっと腰を下ろした。

みんなも近くの席に座った。

あれ?ベポがいないと思ったけど…
そういえば、船番交代しなきゃと
ぼやいていたそんな気がする。

ぼんやりと皆をみていると、

店の奥から
綺麗な女の人達が次々と出て来て、
それぞれの隣に座り、
みんなと話しはじめた。

私はというと…
1人ぽつんとなってしまって…

とりあえずバーカンターに座る。


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