ロー長編連載夢
□13シャボンディ諸島にて01
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シャボンディ諸島に着いたのは夕暮れ時だった。
着くとすぐに、船長の指示で残った船番以外
買い出し要員として駆り出された。
船長の後ろを歩きながら街を見渡す。
前にシャボンディ諸島に身を隠していた時とは違い…
なんというか、人が多く騒々しい。
「船長ーやっぱり…こんなに人が多いのは火拳の処刑のせいですかね」
「だろうな…。公開処刑は明後日だが…戦争になるだろうからな…避難してんだろ」
「避難だけじゃなくて…映像をみたくて集まっている海賊や記者も多いみたいだ」
シャチと船長とペンギンさんの話について行けなくて
私は質問する。
「あの…戦争って?…公開処刑が戦争になるんですか?」
きょとんと目を丸くしている私に…
三人もきょとんとした後…船長は溜め息混じりに説明した。
「お前…噂とか…そうゆう事は耳に入ってこねェのか?」
「だ…だって…、海賊と関わって来なかったので…、それに夜しか動かないので、人とすらも関わってこなかったんですよ!」
その発言に、すぐにシャチが「ラミア独りでつらかったなぁー」と同情の言葉を投げかけてくれたけど、
船長はそこに関してはスルーしながら…説明をしてくれた。
「お前…白ヒゲ海賊団の白ヒゲは、分かるか?」
「四皇の1人というのは知ってます。あと…地震を起こせるとか何とか…。すごい大勢の仲間を連れた大海賊というのは知ってます。」
「今回、その白ヒゲ海賊団の2番隊隊長″火拳のエース″が海軍に捕まり、海軍本部マリンフォードで公開処刑をするって話だが…。白ヒゲという男は仲間の死を許さねェ。この公開処刑を許す訳がねェ…間違いなく止めにくる」
海賊が…そこまで仲間の為に命を…
それも海軍本部という場所に乗り込むなんて、
想像ができなかった。
それが、大海賊なら尚更想像できなくて…。
「え…でも…、そんな大海賊である白ヒゲ海賊団が…仲間1人の為に海軍本部に…?」
思わず困惑の声をあげると、
船長ははっきりとした口調で言い放つ。
「ああ…、必ず来る」
船長がはっきり言う辺り…
本当の事なのだろう。
みんな、それぞれ買い物をしていく。
店が連なっている為、
本当に色々なものが揃っているようだった。
ペンギンさんやシャチやベポは、
なにやら、おかしな雑貨をあさっていて…
気付けば、船長と私の二人っきりで話をしていた。
なんだか…
緊張するっ
何か話さないと…
そう思い先ほどの話を引っぱって来た。
「さっきの話の続きなんですけど…海賊というと、もっとその…こう…クルーに対しても冷たいのかと思ってたんですが…」
もう自分も海賊だという事もあり、
ちょっと言いにくいけど思った事を口にしてみた。
すると、船長は嫌な顔をする事も無く言葉を続けた。
「お前の考えは間違っちゃいねェ…大体の海賊は仲間がどうなろうが知ったこっちゃねェって輩がほとんどだからな…」
「白ヒゲ海賊団は…仲間を本当に大切にする海賊なんですね」
「ああ。白ヒゲ海賊団の白ヒゲは仲間を息子同然に思っていると聞くからな。クルーへの扱いは海賊によってそれぞれだ。まァ…海賊に良いやつなんていねェけどな…」
そして一度言葉を切った船長は、
何を思ったのか…
今度は真剣な顔で私をみながら口を開く。
「そもそもお前だって…俺の船じゃなきゃどうなってたか分からねェぞ…運がよけりゃあ雑用。殺されるか…せいぜい慰み者にされてるだろうな…」
船長の言葉に恐ろしい衝撃を受ける。
「な、慰みものッ!…ッ」
「当然だ。海賊のほとんどが男なんだからな…よく考えずに行動しすぎだ。お前…本当にバカだろ」
言われて気づくけど…私…とんでもなく、本当に何も考えずに来ちゃったんだなぁと改めて思う。
で、でも本当にバカって…
そこまで言わなくったっていいじゃないか。
現にこうして…船長に出会えた上、
あの時は血が欲しくて仕方がなくて…
とてもじゃないけど先の事なんて考えられなかったのだから…
そう思いむっとして言い返す。
「でも…慰み者にはされないと思いますよ。誰が私みたいな半吸血鬼なんて…化け物なんて抱きたいと思…」
「ハァ…お前…自分が半分吸血鬼であることを過信しすだ。そんな事飢えた男にとっちゃ関係ねェ」
「そッ、…そうですか?」
「仮にそれが原因で慰み者から免れても…ヒューマンショップに売られるのがオチだ。お前…シャボンディ諸島に居て、そこから俺の船に乗り込んできたんだよなァ……逆によく今まで捕まる事もなく生きていけたか不思議で仕方がならねェ。」
その目には、大層呆れた色がにじんでいた。
「そ、それは…さすがに私だって気をつけてましたよ!昼はずっと酒樽倉庫の酒樽の中に身を潜めていたり…夜になっても、本当にあまり外に出なかったり…」
「大変そうだな…」
「半分吸血鬼になってからは、本当に散々でしたけど…でも、こうして船長やみんな、ハートの海賊団に出会えて本当に良かったなぁって思ってますよ」
それに対して…
船長は少し考えた後
「これから、どうなるかは分からねェが…、後悔がねェなら、それでいい」
そう言って
店にあったサングラスを私に手渡した。
「かけてみろ」
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