マルコ長編連載夢2

□22fairy tale〜クローストーリー〜
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私達は防寒対策を完璧にして
島に上陸する。

船から一歩島に踏み出すと
ムギュ ムギュ っと雪が声を上げた。
なんか、可愛い。

雪島に上陸した事は今まで一度もなかったので
凄く新鮮な気持ちになる。


それにしても・・・


私はマルコの姿を確認しながら
口元を釣り上げる。

「ふふふ」

「おい、何笑ってんだよい?」

普段マルコの姿と言えば、
シャツの前を開け、ズボンも短く、長い足にグラディエーターといった南国を思わせるファッションが定着しているのに、

今日のマルコは厚手のコートやマフラーもしっかりしている。色々な服装のマルコを見れてなんだか嬉しくなる。

「珍しいなぁ〜って思ったの」

にっこりと微笑むと、マルコは少し恥ずかしそうに

「似合わねェかもな」

「う〜うん!すっごく似合ってる」

「なら、・・よかったよぃ」

なんだか、更に照れ臭そうに言う姿は
自分よりもずっと歳上の人には失礼かも知れない
けれど、可愛いと思ってしまう。


サッチはやれやれという顔をした後、
私とマルコを呼んだ。

「おい、そろそろ出発するみたいだぜ?」


本格的に島に居るという『親父様の知り合いの方』に
会いに行くので船に残るメンバーに一声をかけた。


「みんなーいってくるね」

私はマルコの隣から残っているみんなに手をふった。

「おいエース!親父が風邪引かねぇように人間カイロとして頑張れなッ」

船に残る船員達はエースに向かってエールを飛ばした。

「グラララ、こんくれェで風邪なんか引かねェ。年寄り扱いしてんじゃねーぞ馬鹿息子共」

親父様は言葉とは裏腹に心配する息子達に優しい眼差しを投げた。

「じゃ、シャミア。俺たち4番隊は食料買出しに街に行ってくるから後は頼むぜ」

「うん!!!」


食料買い出しを言いつけられていた4番隊と
衣服の買い出しを言いつけられていた7番隊とは
ここでお別れのようだった。

「あれ?親父様の知り合いの方って街に住んでないの?」

「あぁ、街はずれの森のずぅっ〜と、ずっと奥に住んでるよい。シャミアも、もしかしたら知ってる人かも知れねェよぃ」

最後のくだりでマルコはちょっと悪戯っぽく微笑んだ。

親父様のお知り合いで、もしかしたら、私の知り合いの方って誰だろう??

わからない。



「会えばわかるよぃ」

考え込んでいる私の頭をポンポンと叩き、
マルコは私を寄せる。

マルコに寄って歩くと
なんだか暖かい気持ちになる。


誰かはわからないけれども、
親父様のお知り合いとなれば
きっといい人に違いない。


それにしても、雪がたくさん積もっていて、

むぎゅむぎゅ

どころか

ズボッズボッっと足がはまる。


道のりはやや長そうだった。

雪に覆われた森一面はどこかで見た気がした。


あぁ、そっか。

夢で見たんだ。


不思議な事に夢で見た場所に似ていた。
夢の時は一人ぼっちだったけれども
今はみんなで歩いている。


不思議な感覚を感じながらも
歩いていると

「わぁああ」

転びそうになる。

「大丈夫かよぃ」

キョロロロロ(ぼぉっとしてちゃ、危ないわよ!)

「ありがとう、マルコ、リリアン」


その後、気をつけたのにもかかわらず
何度も転びそうになりながらも、歩いて行く。

「わぁぁあああ」

キョロロロロ(何度目!?)


「まだ、この先長いから何だったらおぶっていくよぃ」

とマルコに言われたけれども、
これ位なんとかしなくては一番隊副隊長は務まらないと思い頭をブンブン振った。

「マルコは私を甘やかしすぎだよ。みんなも、見てるし・・・」

恥ずかしさに顔を真っ赤にさせながら呟くと

「危なっかしいから、仕方ないだろぃ?次転びそうになったら強制的に担ぐ良い」

って大人の余裕でこちらを見てくる。

「気をつけます」


なんだかんだで、ようやく雪の足場に慣れてきた。

しかし、どれ位森の奥なんだろう。

こんなに森の奥だと街に出るのも不便そうだな。

そんな事を考えながらも歩いた。


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