マルコ長編連載夢2

□21fairy tale〜雪国の夢〜
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むかし むかし 悪魔が鏡を作りました。

美しいものは醜く まっすぐなものはよじれる鏡です。

悪魔は天使をからかう為に鏡を天界へと運びましたが

その途中でうっかり鏡を人間界に落としてしまいました。

落ちた鏡は割れてしまい破片となりました。





・・・・




しん しんと 

雪は舞い降りる


まわりを取り囲む背の高い木々には雪がつもり

辺り一面を銀世界に変えている


そしてひときわ存在感を放つものが目の前にあるのに気づく。


ここはお城?




私はガラスのようなやや透明な城の前にひとりたたずんでいた。


はぁー


息は真っ白



その時、


シュッ



一瞬人影が視界にうつった気がした。


しかし周りを再び見渡してもやはり

人影一人無い。



気のせいだと割り切り、

私は、怪しくも美しい透明な城に近づいた。



すぅっと手を伸ばし城の壁に触ってみる


きゃッ

冷たい


氷ッ?


どうやら城は氷でできているようだった



さむい



手をすりよせても


出るのはこの「さむい」という言葉だけ


気づけば私は

体のしんから冷えきっていた。



ここには本当に私ひとりしかいないのだろうか?


さきほどから確かに視線を感じていた。




誰かがいるような、

誰かの気配を確かに感じた。



だけど分からない。




ふぅ〜



2回目の白い息を吐き出した。


白い息は先ほどのように一瞬空中をさまよった後
あっという間に姿を消した。


しかし、以前とは違い
今度は後ろから声が聞こえて来た。


「シャミア」


確かに私の名前だった。

ぱっと振り返るがそこには誰もいなかった。



「シャミア」



私の名前を呼ぶ声がまた聞こえた。


今度は森のおくから


私は必死になって森の木に服がひっかかるのも
気にせず

走る



「シャミア」



私を呼ぶ声が近くなる。



あと もう少し



そして深い森を抜け

ひらけた場所に着いた。


そこでまず目にしたのが


綺麗な長い髪をなびかせた女性がこちら見て笑っているのだ。


この人


見た事がある気がする


だけど



頭の中に何かひっかかって


うまく思い出せない。



そんな事を考えていると

今度は別の声が聞こえた。






シャミアお・・い

シャミアおき・・・い


誰かが、私を呼んでいる気がする。


シャミア・・・ろよ・・・


シャミアおき・・・よい


この声は・・・


ん・・・マルコ?




「シャミア起きろよい」


「ふぅあ!?」




私は気がつくといつもの光景が広がっていた。


マルコの部屋の天井、 本棚、 机、

そしてマルコの心配そうな顔。



「夢だったんだ」





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