ハート短編夢

□真っ赤な火花
1ページ/2ページ


「真っ赤な花火」

※現パロ夢 
ーーーーーーーーーーーーー




……

………



「おい名無しさん、お前小さいから迷子になるだろ」

そう言って、目の前の人波をかき分けながら
歩いて行くローさん。

「そ、そりゃあローさんに比べたら…」

191センチもの身長をもつローさん。
誰だって小さく見えるのは当然な気がする。

ローさんは、有無を言わせない視線を
こちらに向ける。やや、不機嫌そうな声で

「ごちゃごちゃ言ってねぇで、手を出せ」

恐る恐る手を出すと、
私の手首をしっかり掴んだローさん。

おかげで、かなり多い人ごみの中でも
迷う事もなく…ひたすらローさんの背中を見ながら
足をすすめて行く。

ローさんに掴まれた手首がじんわりと熱を帯びる。


今日のローさんは、
喋り方とか、いつも通りだけれど…

いつものローさんと違って、
なんだか優しい気がする。


周りの人達は、みんな浴衣を着ているので、
色とりどりと艶やかな夏らしい人波になっていた。
そんな中をかきわけ進むローさん。
身長が高いので…とっても目立つ。
なにより、かっこいいローさんに目が釘付けになっている女性も多かった。

人波を通り過ぎる度に、
女の子達の黄色い声がちらほら聞こえて来る。

やだなぁ。

仕方が無いとは分かっていても、
どうしても…なんだか複雑な気分。

ローさんと付き合えている事自体…
奇跡に近い事だし、もうそれで十分なはずなのに、
ついつい嫉妬してしまう。



でも、今日のローさんはいつにも増して
かっこよすぎたのは事実で…。


………


………



私とローさんが待ち合わせをしている時、
ローさんは、いつものパーカーで来るとばかり
思っていた。

ローさんが来るまでの間、私ひとり浴衣で来ちゃったけど嫌な顔されないかなぁ。

そんな不安さえあった。


それが、驚いた事に…姿を現したローさんは、
黒い浴衣を着てくれていた。
あご髭にピアスに黒い浴衣…
人を寄せ付けない、いつもの表情。
それがあまりにも似合いすぎて…

かっこよすぎて…

私は初めローさんと目を合わせる事ができなかった。
あまりのかっこよさに息を飲んで、
何も言えずに居ると

「おい、何か気にいらねェ事でもあったか?」

少し戸惑った様子でローさんが聞いて来る。


「え…あ…ない。その…ローさんが浴衣珍しいなぁーと思って…」

「たまには浴衣を着るのも、悪くねェと思ってな。それにアイツらが、名無しさんは絶対浴衣を着て来るから俺も着た方がいいって言って来たからな…」

ぺ、ペンギンさん、

シャチさん


グッジョブ!!!!!


「本当に、似合ってます!!!」

「なら問題ねェな。それにしても、あいつらが言う様に…本当にお前浴衣、着てきたんだな」

普段は確かに女っぽい格好はしてこなかったけど…
確かに私が浴衣を着るのは意外かも知れない。

ローさんの目にどう映るのだろうか。


「へ、…変ですか?」

「いや…、お前…こうゆう女らしい格好も似合うんだな…」


ドキッ


ローさんの言葉に、

心臓が今にも飛出るかと思った。


「…ありがとう」

「そろそろ、行くぞ」



こうして現在に至るのである。


………

………



「ようやく、見つかったな…」


ドサっと石の上に腰を下ろすローさん。
花火は川の上で行われる為、河原は…たくさんの人の場所とりで二人分のスペースをとるだけでも苦労があった。

探しまわった結果、花火から少し遠いけど…
落ち着ける、そんな場所が見つかった。

こんなに遠く離れた場所なのに…、
それでもカップルでほとんど埋め尽くされているのは
驚きだった。

ふと、喉が渇いている事に気付く。

「ローさん、何か買ってくるね。何がいい?」

「お前ひとりで行くのか?」

「だって…二人で行ったら場所なくなっちゃうかも…。だから買って来るね!すぐ持ってくるからっ!」

「そうか。なら…これ、持って行け。好きなもん買ってこいよ。俺は…酒がありゃァいい」

そう言いながら、トラの浮き彫りが入っている
黒い財布を私に手渡した。

「い、いいの??」

「これ位当然だろ?お前を使いっ走りにさせちまうんだから…。好きなもん買ってくんのはいいが、財布だけは落とすな」

「あいあーい!!」


こうして、私は人波に揉まれながらも…

なんとか出店まで、たどりつき目的のものを買う。
うーん…お酒かぁ。

ローさん、ウィスキーとか飲むけど…
流石に売ってないなぁ。
ここは日本酒にしておこっかなぁ。

私は…そうだな。
梅酒にしよう。うん、そうしよう。

あとは…たこ焼きなんかもいいかな…

こうして、たこ焼きとお酒をなんとか
手にしながら戻ろうとすると…。

変なにぃちゃん達に絡まれた。


「ねぇ、君ひとりー?俺たちと花火みねぇ?」

「そうそうー。楽しいよ。花火終ったらドライブとかする予定だし」


まぁ…そうだな。

夏らしい風物詩のひとつ

″ナンパ野郎″

しかし、浴衣を着ているだけで

声をかけられるもんなんだなぁ。

浴衣ってすごい効果がある。


そんな事を考えながら…

「待ち人がいますから…」

とだけ言って、その場を去った。



しばらく、まだ歩きながら声をかけてきたが、
私があまりにも興味を示さない反応に
諦めてくれたらしく…

次のターゲットを探しにいったようだった。


あー、ローさん独りで待たせちゃって悪いなぁ…。


そんな事を考えながら歩いていると…

ローさんの隣に見知らぬ女性が…!!

しかも、何やら親しげに喋っている!!!


あまりの衝撃に言葉を失い、一向に二人に近づけない。

どうしよう…。


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ