ハート短編夢

□地獄絵巻
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ほのぼの夢?


「地獄絵巻」

ーーーーーーーーーー



ジリジリと、
灼けつくような日差しの中。

私達の潜水艦は浮上していた。

どうにも…天井の所にヒビが
出来てしまったらしい。

そのせいで
潜水する事ができない状況が
続いている。

これで、風があれば話は別だった。

しかし、カームベルトと見間違える程の
無風…。

吹いたとしても一瞬で…
涼しい訳でもないただの熱風。

その為、船内に非難するも…
やはりそれでも暑い。


暑い。

暑い。

とにかく…
暑いしか言ってない気がするけど…

つい何か言葉にしようと出てしまうのが
「暑い」という言葉だった。


暑いものは、暑いのだ。
それ以外に何も言えない。

周りを見渡すと…

ベポさんや
シャチさんやペンギンさんも…
だれていた。

ベポさんやシャチさんはおいておいて、
ペンギンさんまでが、だれているなんてよっぽどの事である。

これは、流石に船長に怒られるんじゃないかな。
ふと船長の言いそうな言葉が頭に過る。

「お前ら、緩みすぎだ…」

そういえば、肝心の船長が見当たらない。
どこに居るのだろうか。


船長室をのぞいてみようか。

私は船長室に顔を出してみた…が…。

有り得ない事に…船長までがダレて
寝そべっていた。
その顔は不機嫌そのもので…
有り得ない光景にじぃいっと船長の顔を見てしまうと、


「あァ?文句あんのか…?」

と、やはり
おなじみの言葉がとんできた。


「船長…なんとかなりませんか?」

「なんともならねェから…こうなってんだろ」

その形相はまさに鬼のようで…
ひぃと悲鳴を上げたくなった。


「で、ですよねぇー失礼しました」


いま、船長に関わるのはまずい。
私はそう思い、自分の部屋にこもることにした。

部屋に戻っても暑いのは変わらず、
だれてしまう。

そもそも、このつなぎが蒸れる。
露出が少なすぎて…これはあまりにも暑い。

私は我慢できず…つなぎを脱いでしまうことにした。
ここは、自分の部屋なのだから…問題ないだろう。

私はつなぎを脱ぎ、
うすいノースリーブの服と短パンを晒した。

しかし…それにしても…暑い。

多少は涼しくなったものの、
これでは全然暑さをしのげたとは言えない。

もう1枚脱いでしまおうか…。

でも…どうだろう。
流石に…


理性がはしたないと言うが、
この暑さの中ではすぐに理性さえ溶けた。

私は、下着姿になってみた。

さすがにこれ以上は脱げないけど…
やはり全然違う。

明らかにこっちの方が涼しい。

これで作業が進むかと思ったけど…
今度襲って来たのは凄まじい眠気。

ほぼ裸の状態でベッドに倒れ込むと、
ひんやりしたシーツが肌に触れ、
気持ちがいい。


私はそのまま、眠気に負け。
ひんやりしたシーツに包まれながら
眠気に身を任せた。

少しだけの仮眠。


………

………


「ったく名無しさんの奴…仕事の書類おきっぱなしだ…」

ようやく動ける様になったペンギンが
名無しさんの部屋に書類を運びにきた。

ノックするが返事がない。

しかし、扉は開いていたため、
書類だけ置こうとしたが…
有り得ない光景がすぐに目にとびこんだ。


「あいつッ、なんていう格好で寝てるんだ…」


下着姿という、普段の名無しさんからは
一切想像できない姿がベットの上にあり、
すやすやと眠っている。


ゴクリッ…と唾を飲み込んだペンギンは、
書類を机の上に置いた後、
ベッドに近づいた。

何かしようと思っていた訳ではなかく、
単純に男ととしての興味で近づいた。

が…しかし、タイミングが悪かった。

ペンギンの後ろから
大きな威圧感を放った声が
ペンギンの背中を凍らせた。

「おい…なんで、こいつが裸同然の格好なんだ?」






「地獄絵巻」






この灼熱地獄の中で
鬼の様な表情をしたローは
まさに閻魔大王そのものであった。




13.07.19

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