ハート短編夢

□熱中症
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「熱中症」

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それは…

夏島が近い為か
ひどく熱い日中での出来事だった。

潜水艦だけあって
少し浮上しては…また海に潜ってしまい。
ろくに洗濯物を日光に当てれずにいた。

そんな中、
今日は久しぶりに浮上したのであった。

眩しい日差しの中…
風がわずかに…ながれる。

今日は眩しいな…

みんなの洗濯物を干し、甲板を掃除していると…
さらに身体は熱くなり…意識がぼんやりとする。

突然くる、目眩…

そしてそのまま一気に世界が暗転した。


………

………



「おい…名無しさん…起きろ…」

聞き慣れた声が
私を呼ぶ。気がつくと…私は寝ていたようだった。

ゆっくりと目を開けると
視界に映るロー船長のしかめた顔。

「あ…船長ッ」

ドギマギして、慌ててベッドから飛び降りようとすると…

「おい急に動くな…じっとしてろ」

そう言われ…
あっさりまた横になることにした。

しかし…私は甲板にいたはずなのに…
どうして…私は船長の部屋にいたんだろう。

記憶がなくて…困った事になった。

「あ、あの…」

私が何か言おうと口を開けようとした時、
無理矢理おでこに押し当てられるタオル

「つ、つめたッ」

「我慢しろ…あと、これも飲め。全部だ…」

「え?全部って1ℓはありません?」

目の前には…ガラス瓶に入ったかなりの量の水。

「いいから…飲め。お前は『熱中症』で倒れたんだ。ハァ…お前…俺がクルー全員に、夏島がちかい…熱中症にならねェように水分採れってあれほど言ったばっかりだったろ…」

そう言って、タオルの上からデコピンをされる。

「痛ッ」

「体調管理くれェしっかりしろ…」

船長に言われてようやく気づく。
確かにあんまり喉が乾かなくて飲まなかったけど…
熱中症になってたとは…

「船長は…その…どうして?」

「お前が甲板に倒れてるのを…たまたま…見つけてな」

「え…っと、ここまで船長の″room″で運んできてくれたんですか?」

「……ッ、そうすりゃあ良かったな…」

船長が珍しく抜けていて、なんだか…
クスリと笑ってしまう。
普段だったら…絶対に能力を駆使してくるのに…

「…ッ!笑ってねェで、さっさとその水飲んで自室で休んでろ」

そう言いながら、部屋を出ていってしまう船長。

そして…ある事に気がつく。

能力使ってないという事は…
船長が…抱き上げてここまで運んできてくれたのだろうか?

…ッ


運んで来てくれた船長を

想像して、顔から耳にかけて…

一気に紅くなる。







「そんな彼に熱中症」




私は…こんなにも船長に熱中症なんだけど…
船長は、いつ気づいてくれるのかな?

私は、船長がくれた…おでこのタオルにそっと手を伸ばす。

冷たかったタオルはすでに熱くなっていた。



13.06.03
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6月3日は「ローさん」の日だったらしいので…
どうしても更新したくて急きょ書いた短文です。
最近は、本当に熱くなってきましたね。
 

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