ハート短編夢

□飲み過ぎ注意報
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執事ロー夢御礼にあさかわさんに捧げます。


「飲み過ぎ注意報」

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あいつ…飲み過ぎじゃないか?

やけに上機嫌になりながら
お酒をもう一杯頼んでいる名無しさん。

いつもよりペースが早い

つぶれるんじゃ…

あいつの隣にいるシャチが空のグラスに
さらに酒を注いでいた。

「おい…」

と、声をかけようとしたが、
時すでに遅く…
あいつは一気飲みしてしまった。


「ハァ……おい、シャチ」

とりあえず、事の責任であるシャチの頭をめがけて拳を振り切った。

「痛ぇえええええ」
「お前が注いだせいで名無しさんが…おい、見てみろ」

そして、俺の予想通り
案の定…


つぶれた。






「船長…ちょっと抜けますね」

「あ?………ぁぁ、行ってこい」

俺が抱えている名無しさんをみて、船長は首を縦に振った。
俺が声をかけた時は、名無しさんはまだ少し意識があったみたいで

大丈夫、まだ飲めます…とか
は、恥ずかしいです…とか

言ってたが、俺が抱きかかえた時にはすっかり爆睡していた。




こいつは…
普段、無理をしている分、
その開放感を味わう為に酒の席では
ごくたまに飲み過ぎてしまうことがあった。

全く…もう少し…

自分自身を大切にしろ。


名無しさんの顔をみると
俺の手の中でスースーっと寝息をたて穏やかな寝顔をこちらに向けている。


名無しさんは気づいていないみたいだが、
俺は名無しさんの事が
船に乗ったばかりの頃から気にかかっていた。

だからこそ…無理をしているのに、
笑ってごまかしている事や
人並み以上に頑張っている事も
分かっていた。

酒がその反動だってことも… 

名無しさんが必死に隠して頑張っている姿をみると
「無理し過ぎだ」と声をかけたくなる。
でも、あいつが無理して隠している事を
わざわざ言うのも野暮な気がした…

なかなか、あいつの為に何かする事ができていなかった。


俺にできる事はせめて…
こうやって寝室まで運んでやる位の事で…

………

……


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