白ひげ短編夢
□でもそれは昔の話
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くぅーくぅー
くぅー
俺はふとか細い鳥の鳴き声を聞いて
船の甲板を見まわした。
すると甲板の隅っこで
怪我をしているカモメが苦しそうにもがいていた。
くぅーくー(痛いよぅ)
俺は悪魔の実のせいで鳥の言葉が分かる。
くぅーくぅー(早く、帰らないとっ)
くぅくーくー!!!(人間っ!!)
俺はじたばたしながらも警戒しているカモメを
そっと腕の中に抱いて声をかける。
「安心しろよぃ。別にとって食おうってわけじゃねぇ。それにこんな怪我してちゃ空も飛べねぇだろい」
くぅー(こ、言葉っ)
「あぁ、分かるよぃ。手当してやるからおとなしくしてろぃ」
俺はおとなしくなったカモメを医務室に連れていく途中で名無しさんと偶然出くわし一緒に手当する事になった。
くぅーくぅー(ありがとう人間、うぅ痛ッ)
「カモメさんごめんね、染みたよね・・・もうちょっとだから我慢してね」
くぅーくぅー(こんな人間はじめてだ)
「うん、よく言われるよ」
名無しさんは笑いながらうなづいて
カモメの腕の傷に消毒液をかけて包帯を巻いた。
「とりあえず、まだ飛べないから、おとなしくしててね」
くぅー(でも、家族が・・・)
家族か・・・
俺はしみじみと思う。
こいつにも家族ってもんがあるんだなって
あらためて気づく。
「その家族も怪我して帰って来たら心配すると思うよ」
くーくぅー(それもそうだな)
「だから、もう少し治ってからにしようね!」
くぅー(ありがとう)
「気にしないで!早く治ると良いね」
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