白ひげ短編夢
□ツクリモノ
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「俺は名無しさんしか見てねェーよぃ」
そう言いながら、彼は私の頭をくしゃくしゃにした。
私を安心させようとして呟いたその言葉。
むぅー。まだ納得できない。
「絶対浮気しない約束だからねっ!」
マルコの顔をのぞきこみ真剣な眼差しを向けた。
「あぁ約束だ。そんなに信用してもらえてねェーとは、正直へこむよぃ」
苦笑いをした後、マルコはいじけた素振りを見せる。
自分より年上なのに、私だけに見せるそうした子どもっぽい仕草がかわいらしくて、私はついつい笑ってしまう。
「信用してるよ!マルコがかっこいいから心配になっただけ」
「嬉しい事言ってくれるねぃ。名無しさんとは死ぬまで一緒だよぃ」
私を抱きしめる、私だけの大きな腕。
親父様のマークが刻まれたたくましい胸。
優しげな眼差し
全てが、全てが
ただ、愛おしかった。
ずっと、ずっと側にいたかった。
将来は彼の奥さんとして、
子どもを産んで
一緒に老いる
そんな幸せな生活を
どれほど
夢見ていた事か。
それなのに…
それは、いつから私だけの願いと
なってしまったのでしょうか?
かみさま。
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