白ひげ短編夢
□籠の中
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「俺は不死鳥なんだよい」
マルコが自分の正体をそう私に告げた時
はじめて彼に対する違和感が消えた気がした
不思議としっくりいく
はじめて逢った時
マルコは空をながめていた
それが私には
どこかに飛び立とうとしているように見えたから・・・
「なぁ、名無しさん。そんな俺の正体を知って、それでも俺の事を好きっていえるのかよい」
彼の沈む顔
私はとっさにマルコを抱きしめた
もう一生空を飛べそうにないような
弱り切った雛鳥のようで
見るに耐えられなかったから
「あなたが不死鳥だからって、どうして私の愛が消える何て思うの?そんな寂しい事言わないでよ・・・」
「俺ァこの能力のせいで、たくさんのやつらから化け物扱いされてきたんだよい。お前ェはどうしてそんな平然としていられるんだよい」
「私、鳥好きだもん。マルコが大好きだもん。それ以外に理由がいる?」
「名無しさん、お前ェにはいちいち驚かせられるばっかだなぃ」
彼の笑顔をみてほっとした私は更にいい事を思いついた。
「ねぇ・・・マルコ。出来るならあなたを籠の中にいれてしまいたいの。籠から逃げ出して他の女の元に飛んでかないようにね」
「籠ねェ〜。その必要はねぇよい。俺はもうお前ェのとりこになっちまって逃げられそうにねぇからなぃ」
「ふん。あなたの実力ならどんな檻からも逃げ出せちゃうくせにぃ」
「お前ェの籠の中は居心地が良すぎて、もう空を飛ぶ事なんて忘れちまったよい」
籠の鳥はどんな気持ちなんだろう。
中に慣れて外に飛び立てなくなるのか
それとも・・・
いずれは空を切望したりするのだろうか?
ただ分かる事は
私自身が切望する事
マルコ
お願いだから
頼むから
ずっと籠の中にいて