白ひげ短編夢

□流れ星
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お、流れ星。


北の空から南の空へとひゅんと落ちていく。


そりゃ短い時間だったが綺麗だった。


「なぁ、マルコ。何願ったんだ?」

左隣に座っていたサッチが声をかけてきた。

「なんにも願ってねぇよい」

「は?もったいねぇ」

「別に勿体なくもなんともねぇよい」

「ったく夢がねぇーなぁー、名無しさんは何願ったんだ?」

サッチが俺の右隣にいる名無しさんに話しかけた。


スー スー スー


毛布にくるまって、寝息を立てる名無しさん。


ったく、可愛い顔で寝やがって。

「寝ちまってるなぁ。俺らが流れ星みたっていったら悔しがるぜ。」

ケラケラと笑うサッチに俺も笑いかけた。

「だろうな、こいつが言い出したのになぁ。すぐ寝ちまって困ったやつだよい」

「名無しさんは何を願うつもりだったんだろうな」

「さぁな」

俺は腰を持ち上げる。

「お、部屋に戻るのか?酒まだあるぜ?」

サッチが酒瓶をちらつかせるが、俺は手をふって

「こいつが風邪引ィちまうだろい、俺は名無しさんを部屋に連れてくよい」

俺は、起こさないように気をつけながら
ゆっくりと名無しさんを抱きかかえる。

「おい、そう言って夜這いするんじゃねぇぞ」

「馬鹿やろい。するか!」

俺は思わず声を荒げると


「ん。んん」

と名無しさんが可愛い声をあげる。

俺はサッチに静かにしろ、起きちまうだろと目で合図を送った。

そして部屋へと運ぶ。
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