白ひげ短編夢

□幸福色の喫茶店
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「幸福色の喫茶店」

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夕焼けが落ち始め、街がオレンジ色の光に包まれた。
そんな中で俺は喫茶店に入り浸っていた。

時間が経つのはあっという間だよぃ…

この島のログがたまるには、相当日数が必要なようで、
親父がしばらく、この島で羽を伸ばす事を許可した。
そういった事情もあり、特にやる事もなく
俺は久しぶりに業務から解放されゆっくりとくつろいでいた。

俺はコーヒーを飲みながら…
店内を見渡す。

相当混み合って…
もう満席ってところだよぃ…

俺の隣は空いていたが…
誰も座る気配はなかった。

この″親父のマーク″を見りゃぁ
近寄ってこねェのも当然か…

海賊に近寄ろうとする一般人は
あんまりいねェのも当然だろうよぃ。

俺は一度胸に刻んだ
誇りをみる。

親父は今頃…酒をまた飲んでる頃か…

俺はそんな事を考えながらも
ホットコーヒーの追加を頼んだ。


カラン…コロン


そこに現れたのが、
子どもを抱え優しげな笑顔が印象的な女。

店員はその女に向かって何かを説明し
俺の方をちらりとみた。

俺も、身体をそちらに向けてみるが…
なんとも店員は困った様子だ…

まぁ…空いてるのが″俺″の隣ってのは
店側も困る…ってところか。


「あ、お客さん…」

店員の呼び止めも聞かず、
その女は子どもを抱えたまま、俺に声をかけた。

「お隣失礼してもいいですか…?」

「あぁ、かまわねェよい」

俺が適当に頷くと、
女は子どもを抱えながら
俺に笑顔で一礼すると
隣に座った。

「アイスコーヒーをひとつ…」

女が注文を終える。

全く大したもんだよぃ。
おそらく…俺が海賊だって分かってるだろうに…

俺は感心しながら、ついつい女のガキに目がうつる。


「マーマ、マーマ」

まだ…なんも分かってねェ位か…。
机をバンバンと楽しそうに叩いて遊んでいた。

「こら…##NAME2##、しぃーー。ごめんなさいね、うるさくないかしら?」

「気にしなくてもいいよぃ。可愛いもんじゃねェか…」

俺がにこりとコイツに笑いかけると…

「マーマー、パイナップル、パイナップル」

きゃっきゃと笑いながら、俺の髪の毛の方に手を伸ばして、手を泳がせていた。

パイナップルじゃねェーよぃ。
まったくこのガキは…

子どもの発言に店の中の周りの空気が凍った。
そんな中、この女はクスリと笑いながら

「ごめんなさい。##NAME2##、めッ、パイナップルじゃないでしょ?えっと…」

不覚にも、「めッ」という言葉が可愛いくて
怒るはずが、ついつい笑っちまう。

「俺の名はマルコだよい。パイナップルじゃねェ…##NAME2##わかったかよぃ?」

俺はガキんちょの頭をわしゃわしゃ触った。

「うーパイナップル」

##NAME2##は納得しなかったようで、俺にむすっとした顔を向けた。…かと思うとしばらくして、また俺の髪の毛の方に向かって手を伸ばし

「パイナップル、パイナップル」

とごねる。

…子どもの考えてる事は、よくわからねェよい

##NAME2##はどうしても俺の髪を触りたいようで
女の手の中から俺の方に向かって…
身を乗り出す。

あ、アブねぇよぃ。
落っこちまう。


「##NAME2##、こーら…マルコさんを困らしちゃダメでしょ?」

女が、落ちそうになる##NAME2##を抱きかかえながら、
困った様に俺の方に笑いかける。

やれやれ…

「仕方ねェよい。触らせてやるよぃ。…俺が抱っ子してもいいか?」

「ありがとうございます、本当にすみません」

俺は女から##NAME2##を受け取り抱っこすると…
##NAME2##は嬉しそうに笑いながら、髪の毛をぐいぐいと引っぱった。

ったく、ガキはいい気なもんだよぃ。
そう思っていると…
ふと、親父の言葉が思い浮かぶ。

「全く世話のかかる息子どもだ…グラララ」

親父にとってみたら、
俺もコイツもあんまり変わらねェのかも知れねェよい。

まだまだ、親父に甘えちまう。

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