ブック(ネタ)

□君も好みだから仕方ない
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「ハンジ、何も言わずに堕胎薬をくれ。頼む」


「そんなものを私は持ってないしあったとしても素直にあげれないなー」



人が恥を忍んで頼んでいるというのにハンジは飄々とした笑みでそれを断りやがった。このクソ眼鏡め。こういう薬の部門はお前の担当だと決まっているだろ?なんでないんだ役立たず。俺には時間がないのだ。早くしないとナマエの中にいる悪魔が育ってしまう



「ふざけんな。ないならなんとか用意しろ。俺はナマエの中にいる悪魔を成敗しないといけないんだよ」


「それを作ったのは君自身だろ。というか自分の子を殺すなんてどういうつもりだい?君に子供好きなイメージはないがそれにしたってヤりすぎだろ。なんでそんなことを思ったんだい?」



そうハンジは笑みを張り付けたまま淡々と言った。何故だと?なんでわからないんだ。ナマエだぞ?あのナマエだぞ?子供なんか産んだらどうなるかわかるだろ。ナマエは筋金入りのショタコンなんだ。俺のガキが産まれたらどうなるかなんてわかるだろが!



「お前は脳みそまで巨人にやられてんのか。いいか、あのナマエだぞ?俺似のガキが産まれたら間違いなくそいつを溺愛する。ショタモドキの俺じゃねぇ本物のショタだ。俺が敵うはずがねぇ。だから今のうちに敵を排除しとくんだよ」


「君は嫁が構ってくれなくて拗ねる亭主か。いや、そんなんよりずっとタチが悪いな。そんなことしたらナマエに嫌われるんじゃないかい?止めといた方がいいと思うよ」



ハンジの言葉に唖然とする。ナマエが俺を嫌うだと?ばかな、ありえない。あいつは俺のショタフェイスにメロメロのはずだ。そう、あいつはこの俺にメロメロなのだ。

例え俺の班に入った巨人になるクソガキを追い回したり休みのたびにショタっ子観察日記という怪しげなノートを作るために出かけたりしても最後は俺のもとに戻ってくる。そしてやはりリヴァイが一番タイプだよって満面の笑みで俺を抱きしめる。もはやなんの憂いもない。結局はナマエは俺の物なのだ。外に出て他のショタというものを目に映すのも俺という最上級の想い人をさらに崇高するために比較対象を得ているにすぎない。この世のショタは俺の付加価値として俺を高めているだけのものなのだ。だから俺は寛容な精神でそれを見守ってやる。俺のすることといえばナマエに構われたエレンの訓練内容を5倍にし、ショタどもの遠足とやらの日には壁外調査の日程を組むだけだ。俺は寛大な男だから恋人を束縛して嫌われるようなことはしない。

そう俺とナマエとの関係は概ね良好なのだ。だから俺がナマエに嫌われるなどありえないことだ。



「俺がナマエに嫌われるなんてありえない。俺はナマエを愛してるしあいつだって俺を愛してるに決まってる。てめぇハンジ、適当なこというんじゃねえ」


「そこまで自信があるならナマエに相談すればいいじゃないか。そもそも夫婦間の事柄なんだから私に相談すること自体間違っているよ」


「そんなことはわかっている。だがもし相談してあいつが産むことを選択したら俺はどうすればいいんだ。あいつが子供を産むということは俺よりガキを選択することに他ならないんだぞ?そうなったときに立ち直れないからこうやって内密に子供を始末する方法がないか聞きに来ているんだ」


「いやいやリヴァイ、いくらなんでもそれは短絡過ぎないかい?子供産んだから君をないがしろにするってことは限らないよ。それに女性なんだから誰しも自分の子供を守りたいって気持ちがある。産むって言ったからといって君を選ばなかったということにはならないんだよ?」



ハンジは落ち着けという風に宥めるような口調で接してくるが俺からしたらハンジこそわかっていない。

ハンジはナマエの異常なショタへの愛をわかっていない。あいつは全人生をショタへの愛につぎ込んでいるんだぞ?

俺と一緒にいるときもリヴァイさんってほんとにショタですよね。脱ぐとすごいけど色々ショタだし可愛いし何より顔がショタだしもう本当に大好きです。ちょっと頬ずりさせてください。うおっ、髭の感触全くない。まじショタァ!リヴァイさんの男性ホルモンどこ行ったの?いやなくていいんですけどね。ちょっとぺろぺろさせてくれないですか?と何度ショタと口にするかわからない。いやまあこれはこれでいいんだがな。その後のプレイが盛り上がるから。

あいつはショタに情熱を注いでる。そんなあいつが自分の息子というショタに関心がないはずがない。産まれたら最後、ひゃあっほー!ショタの母親だぜ!取りあえずお耳のついたくまさん柄のベビーウェア買ってこないと。くっ、迷うぞ。ママと呼ばれるのとお母様ぁーと呼ばれるのどっちがいい。と息子へラブで埋め尽くされることは想像に難くない。やっぱり阻止しねえと。

堕胎薬を得られない以上自分で手を下さねえといけない。たしか鬼灯の葉が堕胎薬になるんだよな?鬼灯とかそのあたりに生えてるだろ。よし、探してくるか


と思った瞬間まるで俺の邪な考えが伝わったのかと思うようにドアが開いてナマエが入ってきた。あまりのタイミングに体が硬直する。

ナマエだと?なんでこのタイミングで!??

ナマエは口元を尖らせながら中に入ってきた。機嫌は少し悪いようだ。



「ハンジさーん、聞いてよ!私の愛しいスウィートダーリンが私を置いて出て行っちゃったんだよ。まったくもって薄情な奴だよね。せっかくに自由時間なんだしイチャラブしたかったのに!っと思ったらそこにいるのは私の愛しい人ではないか!リヴァイさんひどいな。身重な嫁を置いてうわきー?しかもハンジさんとなんてショックで死んじゃいそう。ああ、私捨てられるのね」



よよよ、と演技の入った声でそういうとナマエは俺の方を向いてニヤッと笑う。ナマエも俺が浮気してないのはわかっているがそれでも俺がナマエの誘いを放り出してハンジの所に来たのは事実だ。理由を求められているのだろう
だがいえる内容じゃねえ。

思わず口ごもる俺にハンジはニヤリと笑った
嫌な予感しかしねえ。おいハンジ、いうんじゃねえぞ!



「やあナマエ。君と私の仲ではないか。君たちの愉快な関係に私は何度も笑わせてもらっている。それなのに君を裏切るわけがないじゃないか」


「ほほう、それではなんでマイ・エンジェルがここにいるんだい?」


「ぶはっ!エンジェルwwwリヴァイはエンジェルなの?ぷぷぷwwそのエンジェル様が悩みがあるらしくてね、それで私のところに来たのだよ」


「この野郎ハンジ!余計なこと言うんじゃねえ!」



やっぱりハンジの奴余計なことを言いやがった!案の定悩み?とナマエの視線が俺に向けられる。これで俺が悩んでいたことがナマエにバレてしまった。ごまかそうにもハンジにすべて話している以上何の意味もない。仕方ねえ、腹くくってすべて言おう。駄目だったら巨人の口の中飛び込んで死ぬ

俺は息を吸い腕を組んでナマエに向きなおる。愛すべきナマエが視界に映るがその腹の中に諸悪の根源がいると思うと殺意がわく。



「子供についてだ」


「子供?ああ、リヴァイと赤ちゃんプレイしてた時に出来ただろうこの子のことについてだね。なに?」


「赤ちゃんプレイwwwwどっちが赤ちゃん役したのwwww?」


「俺だ。ナマエ、ぶっちゃけると俺は不安なんだ。お前はショタコンだ。もし息子が産まれたらお前の関心がすべて息子に向かう気がしてこええ。俺を愛しているなら子供はあきらめてくれ。無理なら俺は泣く」


そう俺は真顔で言い切った。横でハンジが笑い転げながら顔面崩壊してるが奴のことはどうでもいい。本当にどうでもいい。むしろ邪魔だから出ていけ。世界は俺とナマエだけでいいだろう。

大切なのはナマエの返答だ。これによって俺の人生のすべてが決まるといっても過言ではない。

ナマエがゆっくり口を開いた。俺はごくりと唾を飲みこんだ。



「まあ確かに息子が産まれたら溺愛してメロメロになって構い倒してしまう自信はあるけど、」


「…ああ、」


「リヴァイさん、お腹の子供が女の子だったらどうするのですか?」



は?と一瞬思考が真っ白になった。女だったらだと?



「女の子だったらそりゃ可愛いですよ。私もリヴァイさんも容姿は悪くないですしきっと目に入れても痛くないほどかわいらしい子が産まれるでしょう。その子にリヴァイさんはパパー!とかお父様ぁー!とか呼ばれるんですよ?どうですか?こんなチャンスを捨てていいんですか?」



パ、パパと俺のことを呼ぶ娘だと?

目から鱗が落ちた気分だった。そうだ、なんで俺は忘れていたのだろう。何も生まれる子供が必ず男であるわけではないのだ。人類生命の1/2は女なのだ。俺の子供が娘である可能性だってあるんだ。

とててててーと俺の後についてきた後パパだっこーと両手をあげてせがみ、抱き上げてやるとパパありがとう!といって俺の頬にキスをして、そして最後に『わたしおおきくなったらパパとけっこんするの!』という娘。うむ、



「悪くない」


「でしょ?子供ほしいでしょ?」


「ああ、欲しい。産んでくれ。頑張ってお前に似た可愛い女のガキを産んでくれ」


「オッケー!いえーす!頑張ります!!」



俺はナマエの手を掴んで真摯に頼む。ああ、俺は今お前のショタコンの気持ちがよく分かった。娘は可愛い。娘欲しい。子供欲しい。

問題が解決したとなればこんなくそ眼鏡の部屋にいることない。俺はナマエの手を取りハンジの部屋を出る。

その際ハンジの奴がニヤニヤと笑っていたが奴がおかしいことはいつものことなので気にすることはない。残りの自由時間はナマエとイチャイチャしながら過ごした。

だが俺は忘れていた。娘が生まれる確率は1/2だが息子が産まれる確率も1/2だということに。


天国か地獄かの2拓があることを俺をうまく丸め込みハンジにニヤリと笑みを送り返すナマエを見過ごしていた俺はすっかり忘れていたのだった。



〜end〜

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