少女Aの異世界旅行記(ブック)
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「もうダメだ。神様なんていないだ。死のう。むしろ死ね」
「ナマエの奴どうしたんだ?」
「ほっとけ。いつものことだろ、アイツの変な一人言」
「どうでもいいけどその肉くわねぇのか?俺くっちまうぞ?」
あれから3年、私はあのジャングルで逞しく生きていた。
・・・嘘です。全然逞しくないです、
あの後私は男の子3人組と出会った。その3人とはなんともまあ王道なことでルフィエースサボというワンピースの主人公と主人公格の幼少期の奴らだった。
そう、ここはワンピースの世界だった。
ジャングルの時点で嫌な予感しかなかったがよりによってワンピースかよ畜生!思いっきりバトル漫画じゃないか!生き残れるわけがない!
でも私は期待していた。か弱い少女が一人で異世界。こういうのにはトリップ特典があるはずだと!
なのに!最強主とか愛され主とか、全然発動しないんですけど?解せぬ。
なんでだよ。こういうときは王下7武海並のチート能力とか何にもしなくてもキャラに愛されて守ってもらえるとかあるだろ普通!
まだ能力使いこなせてないルフィより弱いし、てか普通の8歳児の腕力しかないしあいつら平気で私のことこきつかってくるしどう考えても愛されてはないわ、もう人生詰んでる。
「あ、こらルフィ私の肉とるんじゃねえ!てか、今日の獲物は私がとったんだぞ?もっと有り難がれ」
「もぐもぐ。にしし、うめー!」
「確かにナマエって狩りうめえよな。銃とか罠とか使うの上手だし」
「なんつうか、こすいっていうかズルいっていうか。ナマエの戦い方って後ろからグサリとか罠にはめてブスリとかだよな。なんだかせこい」
「やかましい。みんながみんなお前らみたいな超人じゃないんだよ。勝ったもん勝ちですよーだ」
むしゃむしゃと私の捕ったイノシシの肉を食いながら人の戦い方にケチつけるエースとサボの頭を叩く。
私の主な戦い方は罠を作ってはめたり銃で後ろから不意討ちしたりと正々堂々とは程遠い戦い方。
罠の知識は昔興味本意で調べたうっすい知識を頼りに作ってみた。人生何が役に立つかわからんものだ。
卑怯とか言われるがいやだってこいつらみたいに殴り飛ばして敵を倒すとか無理ですから!私一般人だもん!ただの非力な女の子だもん!むしろ守ってくれー!
と、脳内葛藤している間にお食事タイムが終了。私の肉は半分以上ルフィに食われた。まあ、君達ほど食事量を必要としてないからいいけどね!
「ふー、くったくったぁー!!んじゃあ今日は何する?」
「森の奥で俺らの縄張りで最近熊がでんだよ。で、木の実とか獲物とか荒らされるから狩っておこうぜ」
「マジか。んじゃあ、熊狩りに行きますか!」
「ふむふむ、なら今日は熊鍋ですな。じゃあ鍋の仕度しとくよ。いってらっしゃい」
「何いってんだよナマエ。ナマエも手伝えよ」
「イヤに決まってんだろ。お前なにか弱い少女に熊狩りなんかさせようとしてんだよ。嫌だよめんどい死にたくない」
「虎狩るような奴がか弱いわけないだろ。ほら、ナマエってなんだかんだ役に立つからこいって」
「嫌だって!私はお前らみたいに超人的身体能力ないんだよ。虎って罠にはまって動けないでもがいてた奴を捕まえたんだよ。ガチの狩りは無理だって!」
「わかったわかった。じゃあナマエがヤバくなったら守ってやるから、な?」
「!!ホントか!?絶対だからな!?見捨てたら末代まで呪ってやるからな!」
「なー、まだかよ?早く行こうぜ熊狩り」
「おう、もういいぜ。ほら、行くぞ!」
そう言って駆け出したエースに続きルフィとサボが走り出す。
あいつら元気すぎる。人としての構造が違うのだろう、うん。
腰に吊るされた銃を確認し私も目の前の小さな背中を追いかける。体力も速度も違うのだ、早く走らないとおいてかれる。全くもやしっこには辛いぜ。
ゲームも漫画もないし縮んでるしなんかサバイバル生活強いらるしさんざんだけどホントいいことないけどろくなことないけど、どんだけ嫌なんだ私、
こいつらのことは嫌いじゃない。
この世界で1人ぼっちになってしまった私を家族っていってくれて姉と呼んでくれて妹にしてくれて
本当は嬉しかった、なんて口にはしてやらんからな!
まあ、いつかはってかなるべく早く元の世界に戻りたいけどこいつらといる生活はイヤじゃない。
もう少しほんの少しだけここにいてやるよ!感謝しろよ!と心の中で叫びながらしっかり大地を踏みしめる。
今はここが私の世界です。
〜ようこそ!異世界へ〜
その後予想以上に強かった熊に皆逃げ出しあっさりと私は置いてかれたのだった
(ゴラァー!エース!てめえ何見捨ててんだ!ガチ死ぬかと思ったわ!!)
(おー、すげえナマエ。ちゃんと帰ってこれたのか)
(逃げ足は流石だな。まあ、無事でよかったよ)
(ナマエあの熊から逃げたのか!すげえな!あ、熊狩れなかったけどメシどうすんだ?)
(あー、確かに。また、食い逃げするか。)
(にしし、いいな、それ!)
(お前らもうちょっと私を気にしろや!)
〜end〜
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