少女Aの異世界旅行記(ブック)
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「ナマエいいじゃん一緒に旅しようよぜ」
「嫌だよ絶対嫌だよだってルフィについてったら絶対ろくなことにならないもん。私は命と平穏が大事なのだよ。海賊にはなりません」
サボがいなくなって、エースが海賊になって3年経った。
そして今年17歳になったルフィがついに海へ出るのだかしつこく勧誘されているのである。
嫌だよだってお前主人公じゃん。めっちゃ強い敵と戦ったりするんだろ?断固拒否する。
それに海賊って捕まったら縛り首です。命かけて犯罪者になるのはごめんです。
「ダメ?」
「可愛く言ってもダメ。私は自分の命が一番大切なのです。」
そういって手でバツを作って訴えるとルフィはブスくれた。
17歳って高二だろ?こんなに可愛くていいのか?俺の兄貴がこんなに可愛いわけないみたいなアニメが始まってしまいそうである。こいつ別のアニメの主人公だが
「ちぇっ、ナマエのケチ。」
「まあ、いいじゃん。兄妹みんなバラバラの出航でさ。」
「なんだナマエも海でるのか?」
キランと目を光らせるルフィを見てしまったと額を抑える。私も海へ出るつもりというのは伏せてたのについ口が滑った。
「ならやっぱり俺の船に乗れよ」
「だから海賊は嫌なんだって。それに海へ出るのは冒険しにいくためじゃなくて何処かのんびりした町に定住するためだよ。いつまでもジャングル暮らしは嫌だからね」
そう、私も海に出るつもりなのだ。理由は安住の地を探すため、ではなく元の世界に戻るためだ。
私は元の世界に戻りたいのだ。そりゃだって何もしなくとも衣食住保障されてる世界とリアルサバイバル生活な世界だぜ?どっちがいい?
いくらあのワンピの世界だとはいっても何のトリップ特典もついてないし恐ろしい化け物どもがあちこち闊歩してるんだぜ?命いくらあっても足りないわ!あとせっかく届いた制服一度も着れてないのも嫌だ。なんのために受験頑張ったんだドチクショウ
てなわけで私は元の世界に帰りたいんだよ。
グランドラインは不思議なことがよく起こるらしいからひょっとしたら異世界に帰る方法とかあるかもしれない。で、グランドライン行きたいって言ったらじゃあ一緒に行こうと言われると思ってて黙ってたのに。実際言われてるし。命足りないから無理
「わかった?」
「ちぇー、ナマエと一緒に航海したかった」
「なんでお前そんなに私と一緒に海へ出たいんだよ。自分で言うのも嫌だけど私弱いし役立たずだぞ?」
1人が嫌なのか?マリモとか泥棒猫とかメロリンとか長鼻とか強くてお前のわがままに振り回されてくれるいい仲間がすぐできるから大丈夫だよ。改めてみると本当キャラ濃いなルフィの仲間たち。でもルフィもキャラ濃いからそんなもんか。類は友を呼ぶ
そう言うとルフィは尖らせた唇を引っ込めて少しむっとし怒ったような顔をした。
「だから一緒に行きてぇんだよ。ナマエは俺達の妹だから心配なんだ」
「…」
ちょっとジーンてきた。ちゃんと家族って思われてたんだ。ルフィにはきっと飯くれるやつとか飯取ってきてくれるやつとしか見られてないと思ってた。ヤバい鼻水が、
いや、ちょっと待て。お前だから一緒にって私のことやっぱり弱くて役立たずって思ってたのか?前言撤回だ。夜道を歩くときは背後に注意しやがれ!自分で言うのはいいけど他人に思われてるのは腹立つ!
「そりゃルフィみたいに強くはないけど強さが必要な破天荒な人生は送らないから大丈夫だよ。さっさと行けや」
「そうか、わかった。じゃあナマエ元気でな!」
そう言うとルフィはあっさりと納得したようだ。
さっきまで駄々をこねてたと思ったら切り替えが早いな。まあこの何も考えてないような前向きな姿勢がルフィの長所だから仕方ない。ルフィの仲間たちは苦労してくれ。
さっさと荷物を纏め始めるルフィに少しだけ寂しくなる。原作に関わるつもりはない私はきっとこれでお別れだ。
一緒に猛獣に追いかけられたり町に侵入して警備員に発砲されたりガープさんに虐められたり録な思い出ないけど10年間も一緒にいたら情だって生まれるよ。仕方ないじゃん。
元の世界に戻ったら私ジャンプ買うよ。海賊王になれよ。応援してる
「あのさ、ナマエ。」
「なに?一緒にはいかないよ」
「うん。それはもういいんだ。あのさ、」
荷物を抱えてルフィが私と向き合う。ルフィにしては珍しく間を置く。そして手配書になりそうなくらいいい笑顔でニカッって笑った。
「今までありがとな!俺お前のこと大好きだったぞ!」
そういってルフィは手を振って走り出し去っていった。ああああズルい。このタイミングでそんなこと言われたらそりゃダダンだって泣くわ!
ルフィってやつは我が儘だし乱暴だし私女の子なのに優しくしてくれないしデリカシーないとんでもない悪ガキだったけど
私だって大好きだばか野郎!
〜君と別れた日〜
(なんだかんだ言って大好きなのでした)
〜end〜
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