NOVEL<<OO
□lamentation
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『刹那、俺はお前が好きだ』
『ロックオン…』
他人から好意を寄せられるのは今まであまり経験のなかった俺は、どうしていいか解らなかった。
熱っぽい瞳に見つめられるのも、暖かい胸に抱き留められるのも、なんだかむず痒くて逃げ出してばかりいた。
だから好きだ、と告げられたとき、俺は思わず反対のことを言ってしまっていた。
『嫌いだ…その瞳に見つめられるのも、抱きしめられるのも……』
『……そうか。なら、せめて側に居させてくれ……お願いだ、刹那』
そのときのロックオンはとても悲しそうだった。あんなに苦しそうな彼の顔は初めて見た。言わなければ良かったと後悔した。
それより、こんなにも彼を苦しめる自分の不器用さに腹がたった。
俺も本当はロックオンのことを――
けれどこの想いは伝えられないまま、ロックオン・ストラトスは永遠に帰らぬ人となってしまった。
悔やんでも悔やみきれない。
俺はどこかで甘えていたんだと思う。自分の気持ちに嘘をついている俺に気付いて強引に振り向かせてくれるのではないかと。またその胸に抱きしめてくれるのではないかと。
俺は期待していたんだ。自分は何も行動を起こしもしなかったくせに。
だがロックオンは優しい男だ。例え俺の気持ちに気付いていたとしても強引に俺を自分のものにはしようとしない、そんな男だ。
そんな彼が好きだった。
大好きだった…ロックオン・ストラトス――ニール・ディランディが…
CBを離れてからの4年間、世界を旅して回り、ようやく精神的に安定化してきたときに俺はCBに戻ることになり、ニールに双子の弟がいることが解った。
彼に逢いたい、俺の愛したニールの肉親に。そう思い、ライルを迎えに行くことにした。
――今思えばこれが間違いだったのかも知れないと思う。だが、逢いたいという気持ちを抑えることなどできなかった。
ライル・ディランディを一目見たとき、俺は我を忘れてしまった。彼は…ニールに残酷なくらい似ていた。顔はもちろん、声や仕草まで…何から何まで同じだった。
ロックオン…あぁやっぱり俺はアンタを忘れることなんて……
『ロックオン…』
目頭が、胸が熱くなり、俺の頬に暖かいものが流れていく。
張り裂けそうになる胸を震える手で抑え、駆けよっていきたい衝動をギリギリに残っていた理性で何とか押し留める。
『ロックオン…俺は』
『ロックオン?誰だいそいつは』
『俺は…ずっと…アンタが』
そこで俺は気を失ってしまった―――