rose knight―(冬月シリーズ)
□炎の狂舞と松の華舞
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――鬼華國・煌野帝・雪の寝室
緊張感が高まる部屋。
神樺も阿驪美夜も椅子に座る。
「犀亜。琥炎皇子の母親だ」
「…それが…『炎の宮』の名前ですか」
「綺麗と刺…例えるなら、彼女は荊。誰も寄せ付けない威圧感が恐れられていた…」
淡々と話す霰月の異なる瞳が哀愁漂う。『炎の宮』と呼ばれていても、一人になれば寂しい女性。
いや、一人の母親に戻るのだ。
しかし彼女は最後まで『炎の宮』として生きた。
「唯一、彼女が残した詩がある。それを皇華帝の闇って呼ぶんだ…」
「詩ですか?」
「あぁ」
「また、ベタな話ですね」
渋々とお茶を口に運ぶ神樺。
「そうでもない。一度聞いたら、結構脳に灼きつく。彼女自身だけの意志には思えないからな…」