rose knight―(冬月シリーズ)

□悪華の闇に、挟まれて
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――天神界・皇華帝・朱巍の寝室


「く…そ……っ」


怒りに反響し、窓ガラスが割れていく。
首にかかっていた黒銀色の髪が腰辺りまで伸びる。


『その地位を引きずり落とすところだったよ。朱巍…』


不適な笑みを浮かべた兄の最後の科白は、朱巍の自尊心を傷つけた。
だが、反論は愚か…体すら動かなかったことに腹立たしい。あの瞬間、自分は体全体で震撼していた。

普段では絶対に見れない皇華帝 琥炎の残酷な一面。


「今さら……遅いんですよ」


既に兄弟としての差は付いている。
朱巍が白薔薇騎士団隊長の座についた時点で立場は変わった。
そう、憎いとはいえ…実父に認めて欲しいが為。ただ…それだけの為に主従関係を築き上げた。

朱巍自身で引いた一線だからこそ、崩すわけにはいかない。
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