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□想い。
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「鳳」


突然背後から声をかけられ身体がビクッと反応する。
振り返ると相変わらず無表情な日吉が立っていた。


「日吉っ」


「何こんなとこで突っ立ってんだよ。中に入れないだろ」


日吉はオレを押し退けて部室のドアに手をかけた。


「日吉!ちょっと…待っ…」


――ガチャッ。


「「「!」」」


ドアが開くと部室内にいた宍戸さん、忍足先輩、向日先輩の3人が揃って振り返る。


「…どうかしたんですか?」


一斉にこちらに視線が向けられた事を不審そうにしながらも、日吉は淡々とした口調をしていた。


「いや…なんもあらへんよ。なぁ岳人?」


「そうそうっ」


「……」


「そうですか」


日吉は興味なさそうに、自分のロッカーへ向かうとさっさと着替え始めていた。


「鳳、何ボケッとしてんねん?」


「あ、いえっ別に…」


さっきまであんな会話をしてた忍足先輩に声をかけられドキッとする。
オレは今どんな表情をしているのだろうか。

複雑な心境のまま忍足先輩の顔をまともに見ることが出来なくて視線をさまよわせていた。


「もしかして鳳…さっきの話聞いてたんとちゃう?」


「…っ。な、なんの事ですか?」


「…聞いてないなら、ええねん」


忍足先輩はそれ以上何も言ってこなかったから少しだけホッとした。

宍戸さんをチラッと見ると何事もなかったように向日先輩と会話をしながら着替えている。

オレは心中穏やかでないまま帰り支度を始めた。


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