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□眠りに誘われて。
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――キンコーン…


その時、昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴り響いた。


「し、ししどさん!起きてください。もう昼休み終わりですよっ」


鳳は内心動揺しながらも、なんとか平静を装い宍戸を起こす。


「…ん」


宍戸がゆっくりと瞼を開くと、その瞳はまだ眠たそうで微かに潤んでいるようにも見えた。


「…ちょ…うたろ…?」


「目、覚めましたか?」


「あ…わりぃ…オレ…寝ちまった…」


寝起きのせいか、たどたどしい口調で宍戸がすまなそうに上目遣いで鳳を見る。

鳳は一瞬ドキリとして何となく後ろめたさを感じながらもいつもの優しい笑顔で宍戸を見つめた。


「いいえ、気にしないでください。それより…えへへ、宍戸さんの寝顔見ちゃいました。とても可愛かったです〜」


「は!?お、おまえっバカなこと言ってんじゃねーよ!」


宍戸は照れているのか、思い切り鳳から顔を背けた。
耳まで真っ赤になっているのが見て分かる。


「早く教室戻んねーと!」


「は、はいっ」


鳳はそんな宍戸の様子に思わず顔が緩んでいた。



*

「ちょ…長太郎…」


「何ですか?」


教室に戻る途中、ずっと無言だった宍戸が口を開く。


「あの…さ。…さっき…」


「…はい?」


「あ、やっぱ何でもねぇ!オレ次移動だった、やべっ遅れちまうっ、じゃな!」


「あっ、宍戸さん!?」


宍戸は何か言いたげな様子だったが、慌てて走って行ってしまった。
その後ろ姿をずっと見送りながら、鳳はいつしか真剣な表情になっていた。




――オレ…宍戸さんのことが…好きだ…




改めて鳳は自分の気持ちを確信する。これは紛れもなく恋愛感情だと――…。


「宍戸さん…」


ポツリと小さな声で愛しい人の名を呟く。

そして何かを決意した鳳は胸元で光るクロスを祈るようにギュッと握りしめた。




end.

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