Main

□やきもち。
2ページ/3ページ


俺は仕方なく名前を考えることにした…。

「シロとか…チビとかは?」

「…おい、それって見たまんまだろっ」

「あ、やっぱりダメですよね?あはは…」

宍戸さんは一緒に名前を考える気は全然ないらしく、ずっと子犬と遊んでいる。

「あっばか!そんな舐めるなっつーの」

子犬は宍戸さんの顔をペロペロ舐めまくり、かなりなついているようだ。

「……」

しばらくそんな様子を見ていた俺は次第にモヤモヤした気分になっていた。

「宍戸さん」

「ん?」

「俺のことも…構ってください」

「はあ?何言ってんだよ」

「だってー…」

俺も宍戸さんと触れ合いたい。
子犬が羨ましいなんて思ってしまった俺は心が狭いのだろうか…。

「で、名前は考えたのか?」

「まだです…」

宍戸さんと子犬が気になって、いつの間にか名前のことなど忘れていた。

「…ったく、しょーがねぇな」

宍戸さんは子犬を段ボール箱の中へ戻すと、ベッドに腰掛けていた俺の隣に座った。

「長太郎」

「…はい」

「今度はおまえの番っ」

「え?」

「構ってやる…だから、そんな拗ねるな…」

そう言った宍戸さんの頬は微かに赤く染まっていた。

「宍戸さんっ」

俺は嬉しくなって思わず抱きついた。

「ぅわっ///」

「俺、寂しかったです」

「…おまえ、子犬に嫉妬してんのかよ?」

宍戸さんは、ため息をつきながら呆れた顔をしている。

「……。宍戸さんは…俺と子犬、どっちが好きですか?」

「は!?バッカじゃねーの、比べられっか」

自分でもくだらない質問をしているということは分かっていたけれど、聞かずにはいられなかった。

「俺は宍戸さんが一番好きです」

「っ…」

宍戸さんの瞳を真正面から見つめる。

「ねえ、宍戸さんは?」

「…お、俺だって…おまえのことが…」

だんだんと語尾が小さくなり、口ごもる宍戸さん。

「俺のことが何…?」

「…一番…好きだ///」

真っ赤な顔の宍戸さんは恥ずかしそうに瞳を揺らす。

「俺には宍戸さんだけです」

宍戸さんをギュッと抱きしめ額にキスをした。

「長太郎…」

「だから…ずっと俺だけを見てください」

「…ん///」


*

さっきまでキャンキャン鳴いていた子犬はいつの間にか大人しくなっていた。

段ボール箱の中を覗くと安心しきった様子で子犬は気持ち良さそうに眠っている。

宍戸さんにたくさん遊んでもらって疲れたのだろう…。

「あ、子犬の名前…どうしますか?」

「うーん…あとで一緒に考えようぜっ」

「はい!」




end.

あとがき→

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ