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□想い。
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ずっと宍戸さんに憧れていた。
そしていつの間にか好きになってた。
日に日に想いは募るばかりで。
一方的なオレの片想い…。
*
――部活終了後。
「宍戸〜。あの子結構可愛かったんとちゃう?あれからどないしたん?」
部室に入ろうとしてドアを開きかけたオレの耳にいきなり飛び込んできた会話。
(え…?なんの…話?)
オレはなんだか部室に入るのを躊躇ってドアノブを握ったままその場に立ち尽くしていた。
盗み聞きするつもりではないのに、僅かに開いたドアの隙間からなおも会話が漏れ聞こえてくる。
「っるせーな、忍足。別になんもねぇよ」
「へぇ、そーなん?」
「えっなになに?侑士〜オレにも教えて!」
「しゃーないな。ほな岳人にも教えたるで。…今日宍戸が告白されとったの見てしもうたんよ〜」
「えっ!マジでっ?」
「おいっ、おまえらっ…いい加減にしろよな!」
忍足先輩の言葉がオレの頭の中に入り込んできて身体が強張った。
(宍戸さんが…告白された)
別に驚く事でもないじゃないか。テニス部正レギュラーといえば、かなり目立つしモテる。
自分も正レギュラーになってからその立場の大きさと重みを思い知った。
特に跡部部長や忍足先輩は人気も凄くて告白されてるのを何度か目撃した事はある。
今まで宍戸さんのそういう類いの話を聞いた事や見た事は不思議となかったけれどモテるのは当然だろう。
そんな事、分かっていたはずなのに何だか気分が落ち込む。
(…こんな話…聞きたくなかった…)
そう思いながらも、部室内の会話が気になってその場から離れることが出来ずにいた。
「…にしても、告った子も不憫やな〜」
「な、何でだよっ」
「だって、そやろ。宍戸には好きな奴おるんやし…」
「は?!何だよそれっ!」
「えーだれだれっ?侑士知ってんのかよ!」
(え…宍戸さんに好きな人がっ?!)
衝撃的な言葉にオレの思考回路が停止する。
一瞬にして頭の中が真っ白になった…。
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