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□眠りに誘われて。
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――昼休み。

宍戸と鳳は一緒に屋上で昼飯を食べ、その後他愛のない話をしながらのんびりと過ごしていた。

今日は雲ひとつなく青い空が広がっている。
ぽかぽかと暖かい日射しが降り注いでいて、まるで眠気を誘っているように心地良い。

宍戸は鳳と話しているうちに、いつの間にかウトウトしていた――…。


*

「宍戸さん?」


「……」


急に会話が途切れ鳳はふと隣の宍戸の顔を見遣る。
すると壁に背を預け、静かに寝息をたてている姿がそこにはあった。


「あれ…?もしかして…寝ちゃったんですか?」


鳳は少しびっくりして目を丸くしたが、すぐに穏やかな表情に戻る。


「…疲れが溜まってるんだろうな…無茶な特訓してるから…」


ここ数日、部活が終わったあと夜遅くまで鳳は宍戸の特訓に付き合っていた。


「宍戸さん…」


鳳は宍戸の寝顔をじっと見つめる。その顔には沢山の傷痕があった…。
今は制服を着ていて見えないが、おそらく身体中アザだらけになっているのは軽く想像ができた。




――オレがつけたキズ…




鳳の胸がズキリと痛む。
例え宍戸が望んだ特訓だとしても、これ以上自分のスカッドサーブで宍戸の身体に傷がつくのは耐えられそうになかった。


「……」


鳳はそっと片手を伸ばすとその指先で宍戸の頬に優しく触れる。


「…ん…」


僅かに宍戸の唇が動く。
鳳は一瞬ドキッとしたが、まだ目を覚ましそうもない宍戸を確認するとホッと一息ついた。
よく見るとその寝顔は年相応のあどけない表情をしている。


「ふふ。…可愛い」


鳳はしばらく宍戸の寝顔を見つめていた。うっすらと開かれた唇に視線が止まる。


「………」









――チュッ…




頭で考えるよりも先に身体が勝手に反応して、気づいたら鳳は宍戸の唇を奪っていた。


「んっ…」


宍戸の身体が僅かにピクリとする。鳳はハッとして我に返り慌てて宍戸から離れた。
心拍数が一気に上がり全身が熱くなる。




――オレ…今…何して…




鳳は自分の唇にそっと指を這わせた。
まだそこには宍戸の柔らかい唇の感触が生々しく残っている。


「し…しど…さん…」


.

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