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□あかし。
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俺と宍戸さんが付き合っているという事を、まだ誰も知らない。


*


「キスマーク、つけていいですか?」

俺は宍戸さんの首筋を舐めながら問いかけた。

「!?…おいっ…やめろよ長太郎っ」

いつも嫌がる宍戸さん。
だから痕をつけた事はまだ一度もない。

「どうして?」

「どうしてって…見られたら恥ずかしいだろっ」

そしていつもと同じ問答が繰り広げられる。

「見られたっていいじゃないですか?」

「よ、良くねーっ!!」

「じゃあ見えない所ならいいですか?」

「それでも…ダメだっ」

真っ赤な顔で怒る宍戸さん。
今まで宍戸さんの嫌がる事は仕方なく諦めてきたけど、今日は諦めが悪い俺。

「宍戸さんは、俺と付き合ってる事が皆にバレるのが怖い…?」

「そ、それは…」

宍戸さんは困ったように視線を泳がせた。
図星だとすぐに分かる。

「…俺たち、男同士だから?」

宍戸さんがずっと気にしている事を俺は言葉にする。

「っ…。だって普通に考えたら、やっぱ…変だろ…」

「…変だとは全然思いません。男とか女とか関係なく…俺は、宍戸さんが好きなんです」

「……」

「宍戸さんだから好きになった」

「長太郎…」

宍戸さんの潤んだ瞳はまだ困惑しているように見えた。

「俺たちは…何も悪い事はしてないです」

「…そう…だよな…」

宍戸さんは小さな声でポツリと呟くと俺の頭をそっと撫で微笑した。

「宍戸さん…?」

「俺も…長太郎だから好きになった…」

「…はい…」

宍戸さんを見つめ俺も微笑する。愛しさが込み上げてきて堪らない気持ちになった。
そしてまた宍戸さんの首筋を舐める。

「…長太郎…キスマーク、つけろよ…」

「え…いいんですか…?」

「おまえだから…許す…。その代わり、俺もおまえにつけるからな…」

「はい」


*


宍戸さんの体中に沢山の赤い痕を残した。

そして俺の体にも同じように赤い痕がついている。


これは…


宍戸さんは俺のもので、俺は宍戸さんのものだっていう『証』





*


――次の日

俺たちが付き合っているという事が学校中に知れ渡った。

…俺が発信源だなんて、宍戸さんは気づいてないだろうけどね。




end.

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