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□やきもち。
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「長太郎、今日俺ん家来いよっ」
「えっ!いいんですか?」
いきなり宍戸さんからのお誘いに舞い上がる俺。
「ちょっと見せたいもんがあるんだ」
「見せたいもの?…何だろ?」
「ま、それは家に着いてからのお楽しみだなっ」
無邪気に笑う宍戸さん。
俺も自然と笑顔になり、何だかよく分からないけれどワクワクした気分になっていた。
*
「入っていいぜっ」
宍戸さんの部屋へ入るとあるものに目が止まった。
それは段ボール箱で、中からキャンキャンッと可愛い鳴き声が聞こえてくる。
「えっ?犬…ですか?」
段ボール箱を覗くと真っ白な子犬がはしゃぎながら尻尾を振っていた。
「おまえ、いい子にしてたか?」
宍戸さんがそっと抱き上げ頭を撫でる。
「どうしたんですか?この子犬…」
「昨日、拾ったんだ…段ボール箱に入って捨てられてた…」
その時の状況を思い出しているのか、宍戸さんは悲しそうな顔をしていた。
「そうだったんですか…可哀想に。でも宍戸さんに拾われて、きっとこの子犬も喜んでますよ」
「…だといいけどな」
優しく微笑み子犬を見つめる宍戸さん。
子犬は嬉しそうに宍戸さんの手をペロペロ舐めている。
「ははっ、くすぐってー」
「可愛いですね」
俺もそっと頭を撫でてあげる。
勿論、子犬は可愛いけれどそれ以上に子犬とじゃれ合う宍戸さんは可愛かった…。
「ところでこの子犬、名前はついてるんですか?」
「名前はまだねぇけど。そうだな…長太郎、おまえ考えろっ」
「えっ、俺がですか!?」
「おう。任せたぜっ」
「ええーそんなぁ…」
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