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□ハピバ。
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『12月5日』は日吉の誕生日。

只今、12月4日 23:56

――あと数分で日付が変わろうとしている。


*

数ヵ月前から向日先輩と付き合っている日吉。

誕生日前日の今日は、土曜ということもあって向日先輩の家に泊まりに行っているらしい。

きっと今頃は…一緒に楽しい時間を過ごしていることだろう。


*

「宍戸さん、もうすぐですよ」


「おう、そうだな」


俺の家には宍戸さんが泊まりに来ている。

もうすぐ誕生日を迎える日吉に、『誕生日おめでとう』コールをしようという事になって、ずっと時計を気にしていたところである。


「でも日吉のことだから、携帯の電源切ってるかもしれないですよ?」


「まあな、若ならありえそうだな…そしたら岳人の携帯にかければいいんじゃねぇ?」


「あ、なるほど!さすが宍戸さんっ」


「岳人のやつ怒りそうだけどな」


会話をしているうちに、刻一刻と時間が迫ってきた。


「宍戸さん、かけますよ!」


「おうっ」


俺達は視線を合わせニヤリとした。


「(プルルル…)」


しばらくコール音が続く。
とりあえず、電源は切られていないようだ。


「でないですね…」


「…ったく、若のやつ早くでろっつーの」


しつこく待ち続けて諦めかけたその時。


『…はい……』


何となく不機嫌そうな日吉の声が聞こえてきた。


「あ!日吉っ!!早くでてよっ」


『…鳳…こんな時間に何の用だ』


ますます不機嫌そうな声が聞こえてくる。


「あのさ、誕生日おめでとう!」


『……。そんな事でわざわざ電話してきたのか?…』


「そんな事って…」


すると俺の隣で様子を伺っていた宍戸さんに、いきなり携帯を奪われる。


「おい、若!誕生日おめでとなっ!」


『宍戸さんも居たんですか…。2人して何やってるんですか…』


「おまえをビックリさせてやろうと思ってよ。…そういや、岳人も居るんだろ?」


『…はい…居ますけど…(ちょっと向日さん、黙っててくださいよっ)』


「若、どうした?」


『あっ、いえ…。何でもありません。向日さんに代わりますか?』


「おう、わりぃなっ」


『…もしもし…亮?…日吉がっ…迷惑がってんぞ…んっ…』


「岳人?……」


『(やめろってば!気づかれるしっ)…っ…ん…あ、…おまえらは…何してるんだよ?』


「…別に何もしてねーけど…あー…なんかジャマして悪かったな?///」


『えっ?!(おまえのせいでバレてるっぽいし!)…日吉に代わるっ!』


「長太郎…今度おまえでろっ」


「あ、俺はもういいですよ。おめでとう言ったし」


「と、とりあえず、代われっ」


宍戸さんの顔が何故か赤くなっているのが気になったけれど、言われた通り差し出された自分の携帯を受け取った。


「…もしもし?…」


『(…はぁ…日吉っ…早く電話っ…)』


『(ほっといていいですよ…)』


『(おまえ…ヤバイって…)』


『(向日さんの可愛い声…聞かせてあげればいいでしょ)』


『(くそくそっ…日吉っ…んぁ…)』


「…………」


俺は向こうから微かに聞こえてきた会話ですぐに宍戸さんの顔が赤くなっている理由が分かった。


「…切りましょうか」


「…そう…だな」


そして、電話を切る。


「「………」」


しばしの沈黙。


「もしかして、ジャマしちゃったみたい…ですね?」


「…ったく、あいつら何やってんだよ…///」


そう言いながら宍戸さんはますます頬を真っ赤に染めていた。


「宍戸さん。俺達も日吉達を見習って…」


「お、俺はもう寝るからな!///」


「ええっっ俺、ガマン出来ないです〜」


「うるせーっ、寝るったら寝る!」


急に機嫌が悪くなった宍戸さんは、ベッドに潜り込んでしまった。

なんとか宍戸さんを説得しようと試みたけどムダな努力となる。


「日吉のやつ、いいよな…」


1人取り残された俺は、途方にくれていたのだった…。




end.

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