塾が終わり、レンはジェイドをぼんやり見ていた。
『レン、何を考えているんだ?』
『アキ? …うーん、ジェイドの事なんだけど一日見て、体調は大丈夫みたいなんだよね』
『確かにそうだな。 今まで見てきたような感じではないね。 だからって、レンが手を出すまでではないと思うけどな』
アキはニッコリと笑い、牽制した。
『ぅ…、わかってるよ。別に、レイとアキを信用していないわけじゃないんだって。 なんだか、不思議な感じがするんだぁ』
と、そこに
「何話してんだ、レンにアキ?」
『フランツ? 帰らなくていいのか?』
アキは目を丸くする。
「今から、雪合戦しようと思ってな。 アキ、どうだ?レンはダメだぞ、病み上がりだから」
『雪合戦かぁ。いいなぁ、雪合戦。 僕も混じりたい』
レンはいいなぁ、とフランツ…ピオニーを見上げる。
「ダメだ。レイに聞いたぞ、もともと体調を壊しやすいんだってな。 今日だって本当は塾にだって出るなって医者に言われたんだろう」
ピオニーに言われ、レンは息をついた。
『わかってるよ、今日だって無理言ったから。 大人しくしてる』
隣のアキに言う。
「元気になったらやろうぜ、雪合戦!」
『その時は誘ってね。 レイとアキは混ざっておいでよ。 僕は先生と見学しとくよ』
『はぁぁ、外には出るなよ。レイに怒られるからな』
「 ふぅん、レンは参加しないんだね」
ジェイドが本を持ち、レンの横に来る。
『参加しないんじゃなくて、参加出来ないんだよジェイド。って、ジェイドは参加しないの?』
「馬鹿らしい。 僕は本を読むつもりだしね」
「ジェイド、ジェイド」
サフィールが走ってくる。
「うるさい、あっちに言ってろ」
「ひ、ひどぉいっ! レン、ジェイドがぁ」
くすくすレンは笑う。
『ジェイド、サフィーの話ぐらい聞いてあげなよ』
「代わりにレンが聞いたらいいじゃないか」
ジェイドは言う。
『だって。 サフィー、僕が話しを聞こうか?』
「うーん、でも…」
『まぁ、いいけど…雪合戦しないの? 僕の事は気にしなくていいからさ、行ってきなよ』
手をヒラヒラと振る。
ピオニーはサフィールを問答無用と言わんばかりに引きずって外へ行った。
レイとアキが念を押して、ピオニーたちと外へ行った。
「…ふぅん、お姫様は大変だね」
ジェイドの言葉にレンは苦笑する。
『お姫様、かぁ。僕はそんな役柄じゃないよ…。 けど、ありがとう、ジェイド』
「何が?」
『僕は大丈夫だから、混ざってきなよ雪合戦。 その本、読み終わってるでしょ』
「………………、面白いから何度も読んでるだけだよ」
『そっか』
レンは笑う。
「(この頃からよく体調を崩していたんですね)」
レンはジェイドとダブって見えた、もう一人のジェイドを見つめ、
『ジェイド、…『はい、ストップ。』、レイ!』
レンは驚いた。