(.-.松)STORY

□あるところの話
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あるところに
男の子がいました。
その子の前には
女の子がいました。
二人は今ケンカ中です。
男の子は言いました。
「お前なんか嫌いだ」
すると女の子は
首をかしげました。
だから男の子は
もう一度繰り返しました。「お前なんか嫌いだ!」
あえて「!」をつけて
強調してやりました。
男の子は
どんどん言います。
「お前ワガママなんだよっ」「うん」
「好き嫌い多いし!」
「うん」
「時間にルーズだし!」
「ああ〜」
「お前のその指輪
オレの嫌いな
色なんだよ!」
「うん?」
女の子は今さら
自分の指輪の色を
確認します。
まだまだ男の子は
続けます。
「あと日本人なのに
箸の持ち方悪い!」
「おうっ」
「寝癖のまま
学校くんな!」
「あっちゃ」
「それからそれから」
「ねぇねぇ」
女の子はハネた髪を
引っ張り伸ばしながら
初めて自分から
話しかけました。
「給食のときまで
わたしのこと見てたの?」
「見えたの!」
「指輪の色まで
よく見てたね」
「だって
お前のこと好きだもん」

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