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□哀れなサンドリヨンと泣き虫王子様U
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嗚呼、私はまるでサンドリヨン。



農家に生まれて働き続けて

神からお告げを聞いてからは、


鍬は剣に 

如雨露は盾に

古着は鎧に

荷車は騎馬に


そんな私の一つの救い。

それは貴方が居てくれた事。

優しい貴方を守る為なら、どんな戦いにも勝ってみせます。



武器を携えいざ尋常に。

刃交える激しいひと時。

命懸けの舞踏会。


やがて十二時の鐘が啼く

放たれた一矢

私の脇腹を貫いて


黒い空と紅い大地。







最期の宴。

私は十字架に吊るされる。




嗚呼、私の王子様

迎えに来て

時間が無いわ




揺らめく焔。

私を包む。

薄れる意識。



一瞬の奇蹟

煙と炎の隙間から

懐かく

優しく


貴方の顔が

一瞬

見えた



涙でぐしゃぐしゃ。

顔歪ませて何か叫んでる。

もう私には聞こえないのに。

鼓膜があと少し長く燃えないでくれてたら良かったのにね。

そんな表情しないで。

いい男が台無しじゃない。

いつもみたいに気取って見せてよ。




さぁ

涙を拭いて顔をお上げ

最期に会えて嬉しかった

きっとまた会いにいくわ

それまで少しだけ待っててね





goodbye and I loveyou.



end
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