倉庫@


□マシュー・ウィリアムズの憂鬱
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窓から朝の光が差し込む。

ベッドの上で何かがシーツにくるまっている。


「オイ、モウ朝ダゾ。サッサト起キヤガレ」

「んー・・もう眩しいなぁ・・もうちょっと寝かしてくれよ・・・」


白熊が容赦なくシーツを剥ぎ取った。


「うわぁッ!ちょっと何するんだい!!クマ吉さん」

「誰?」

「カナダだよ!!・・・って今日もしかして・・・」


カレンダーを手に取る。


「やっぱり!!僕の誕生日だ!!!」


上機嫌で着替えてシロップをたっぷりかけたパンをかじる。


「今日くらいみんな僕に気づいてくれるよね・・!!!じゃあG8会議行ってきます!!」


イギリスの会議場にスキップしながら向かった。


(どうしようプレゼントとかいっぱいもらっちゃったら・・・お返しとかあげた方がいいよね)


期待を込めて扉を開く。


「おはよう!!!」


皆が振り向く。


「あぁ・・おはようございます」

「今日は遅刻しなかったんだな」

「お兄さんは愛の遅刻は絶対しないよ」

「黙れ」


(・・・・あれ?)


普通な返答にカナダは面食らった。


「おっ、おはようございますイギリスさん。・・・今日って何日でしたっけ?」

「えーっと・・7月1日だな」

「・・・そうですか」


何の疑いもなく返された返事。


(あ〜やっぱ皆僕の誕生日忘れてるよ・・・泣きそうかも・・)


「じゃあ会議始めましょうか」

「ちょっと待て日本。アメリカがまだだ」


(もう何だっていいよ・・どうせアメリカも忘れてるんだろうし・・・)



バタンッ


扉が急に開いた。


「悪いね、遅くなったよ」


いつも通りの上着。

少し乱れた髪。

そして両手には・・・


「HAPPY BIRTHDAY!!
カナダ!!!」


花束。

きれいな白い花と大粒の美しい赤い花。


「どうだい?きれいだろう!!君ん家の国旗を意識してみたんだぞ!!・・ってカナダ?」

「・・・僕のために?覚えてたのかい?僕の誕生日・・」

「当たり前だろう兄弟!・・・他の国たちは何にも用意してないのかい?」


途端に慌しくなる会場。


「いっ、いや忘れてた訳じゃないんだよ!!ただプレゼントが・・」

「今日誕生日だったんですか?!」

「おーっと・・お兄さん家に花束置いてきちゃったよ・・」


(アメリカ・・・)


もらった花束を抱きしめる。

(・・・ありがとう)




その日の夜




「どうだいクマ太郎さん!!綺麗だろう!」

「・・・誰?」

「マシューだよ♪」

「機嫌良スギテ気持チ悪イゾ」


カスミソウとグロリオサが花瓶に生けられていた。


end
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