log2

□廻る。
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恋がこんなにつらいなら、もう二度としたくないと思った。




イギリスが俺の前を通った。
今日初めて見たかも。
吹き抜ける風があいつの匂いを運んでくる。


イギリスがアメリカを盗み見してる。
少し悲しそうな色を瞳に隠して。
あぁ・・あれはきっと、そうだ昨日喧嘩したな。
だから機嫌を伺ってるんだ。




苦しい。
苦しいなぁ。

自分の好きな人が違う人を愛しているだなんて。




俺は演技する。
イギリスを励ますために。
ちょっとでも元気を出してくれるように。
やっと俺の方を見たお前の口から零れる言葉は誹謗中傷。
もう慣れたけどさ、ちょっと哀しい。
ここで俺は予定に無かった言葉を吐いてしまう。
「お前、きのうアメリカと喧嘩したろ?」
みるみるうちに赤くなっていく顔。
どんな悪口を言われるかと身構える。
でも彼は俯きながら言った。
「したよ、喧嘩。『君と俺はもう他人だろ』なんて言うから」
さらに呟く。


「お前には分からねぇよ。片想いのつらさなんて、お前みたいな奴に分かってたまるか」


分かってたまるか、って。
多分俺が一番分かってると思うんだけど。
人の気持ちを考えて話しましょう、って習わなかった?


「何で喧嘩したって分かった?」


んなの決まってるだろ。
ずっと見てきたからだよ、お前のこと。
いつもそうやってアメリカばっか見てるから気づかなかっただけでさ。

なんて言えるはずもなく


「んー・・・何となく、かな」


そこで会話は終焉をむかえた。





これからもイギリスはアメリカの後姿を見続けるだろう。
そして俺はイギリスの後姿を見続けるだろう。



哀しい、恋の輪廻。


end
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