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□夢現
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消えた筈の彼が、夢に出てきた。



どんなに手を伸ばしても届かない、遠く離れた場所で彼は笑っていた。

笑いながら俺の名を呼んでいた。



うれしくて


かなしくて






そっと目を開けると白い光が飛び込んできた。
ゆらゆら揺れる木の葉の影。


「イタリア、起きたか?」


ドイツ。

青い瞳。
彼と同じ色。

・・・神聖ローマ。


「顔色が良くない。家へ帰るか?」

「ううん、大丈夫。・・・もう少し眠ってもいいかな」

「あぁ」



再び目を閉じる。




もう一度眠れたら また会えないかな


もし会えたなら 聞きたいことがいっぱいある
話したいこともある


この願いが叶うなら、もうずっとこのまま目が覚めなくてもいいから






だからお願い







誰かが手を振っている




誰だろう


あぁ、彼だ
また会えた



なんて 美しい



手を握ると懐かしいあの温もり


どうしよう


何から話そう
何から聞こう


頭の中で言葉と単語が溢れかえり

零れ落ちたのはこんなくだらない台詞




「今何処に居るの?」


彼は答えなかった
ただ微笑んでいた



一瞬にも思えたし
何百年にも思えたこの夢の時間の終焉が訪れた


彼は俺の手を離した


そうして確かに、確かに「あいしてる」と言ってくれた。











なんて
  
  儚い   

    狂おしいほど

愛しい






二度目の目覚め。

やけに繋いだ手の感触がリアルだなと思ったら、ドイツの手だった。

大きな手のひら。

眠るドイツの顔を見て俺は想像してみた。


ドイツも昔好きだった人の夢を見ているのかな、なんて。






繋いだ手は優しくて

昔離れてしまった小さな手を想いながら

今度は決して離れないように強く握り締めた



end
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