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□Ninteen
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大人と子供の境界線は何処ですか









あの時、俺は言った。
「もう子供でもないし」と。

大人でもないくせに。





「なぁ、日本。大人と子供の境界線はどこだい?」


何気なく、たまたま隣に居た彼に問うてみた。
彼は微笑みながら、こう答えた。


「私の家では、二十歳で成人です」




聞かなければ良かった。

まるで、俺は大人になりきれていないと言われているようで。

そういえば、俺の家でも大人として認められるのは二十一歳からだった。




大人になりたい。
自由が欲しい。







「I am not a kid anymore(もう子供じゃない)」

「何か言ったか?」


振り返って俺を見る君。




君は大人で、俺は子供。
君は兄で、俺は弟。


いつまで経っても追いつけない。


「アメリカ」

「何だい?」


「過去に帰りたくなる時ってあるか?」

真剣な新緑の眼。



yes.と答えたところで何になるのだろう。
昔に帰れるとでも?

無意味な論争はもうたくさんだ。



「わからない」

「・・そうか」


風に乱された髪をかき上げる君。

ふいに昔を思い出した。


黄昏の草原。
沈みゆく夕陽。
繋いだ手の温もり。
優しい笑顔。



「イギリス」


あの時俺は子供だった。
ずっと子供のままでいいとさえ思っていた。


それが幸福と呼べるのなら、



「幸せってよくわからないけど、幸せだったよ」


君と過ごした日々を、

「守りたかったから」


俺は

「自由を選んだ」


本当に

「ごめん」


そして、

「心から君を」


愛してる。

「君を・・・」


言えない。
涙が喉に詰まって声が出ない。


「わかった。もういい、ありがとう」

抱きしめられた温かさは、昔から変わっていない。

懐かしい。


「イギリス、大人と子供の境界線はどこだと思う?」


君は暫く考え込む。
やがて真っ直ぐ俺の目を見ながら答えた。


「このままでいいと思えるのが子供、過去に帰りたいと思うのが大人・・だと思う」

「じゃあ俺は大人?」

「かもな」

「でも、このままずっと抱きしめていて欲しいとも思うよ」

「じゃあ子供だ」


どうやら俺は、大人で尚且つ子供・・らしい。






永遠の十九歳(大人?それとも子供?)


end
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