創作
□俺の中は君でいっぱい
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瑠嘉は、走り疲れたのか歩いていた。
俺は、後ろから瑠嘉をそっと抱き締める。
「っ・・・けいちゃん・・・!!」
「・・・ごめん、瑠嘉」
瑠嘉の目が潤んでいた。俺が泣かせた。
「は、放せぇ・・・!!!」
「やだ」
「ねぇっ・・・」
「やだ」
「どうしてっ・・・」
「・・・好きだからに決まってんだろ」
「っ・・・///」
顔を真っ赤にする瑠嘉。返事なんかいらなかった。
ただ、瑠嘉にこの想いが伝わればそれでよかった。
男が男を好きだなんて、常識的に考えられない。だけど俺は、瑠嘉が好きだ。
「・・・好きだ・・・瑠嘉」
「お・・・俺も・・・けいちゃんが好き」
返事なんかいらない。そう思ってたはずなのに、
瑠嘉のその言葉を聞いた瞬間、
心のどこかで返事を求めていた俺がいた。
「けいちゃんが・・・好きだよ。誰よりも」
瑠嘉はそう言って、俺を見て笑った。
その笑顔がいつも以上に可愛くて。
「っ?!///」
俺は、静かに瑠嘉の唇にキスを落とした。
俺にとってのファーストキス。
「可愛い顔してるのが悪い」
「な、なんだよっ///・・・」
「ほら、帰るぞ」
帰るタイミングとしては、かなりおかしいけど、
これ以上瑠嘉と話してるとどうにかなってしまいそうだった。
「・・・ん」
瑠嘉は素直に俺の差し出した手を握った。
瑠嘉の手は小さいけど、それ以上の温かさがあった。
その手を握っているだけでも、俺はおかしくなりそうだった。
今、この瞬間にも、俺の中は瑠嘉でいっぱいになっていく。
好き、大好き、愛してる。気持ちがどんどん膨らむ。
無自覚だけど、可愛い俺の瑠嘉。
俺の中は君でいっぱい。