創作

□俺の中は君でいっぱい
2ページ/3ページ


「けいちゃんの馬鹿ぁあ!!!」

瑠嘉は一瞬手を上げて、俺を殴ろうとした。
俺は、覚悟してたのに瑠嘉は結局殴らなかった。
そして、そのまま瑠嘉は走り去った。
こうなったのは、数分前。

―――数分前、教室。
俺は、いつものように絋斗と話をしていたこと。
瑠嘉は、他の奴らと話をしていたから、誘わなかった。


「何で俺を話に誘ってくれなかったんだよぉ!!」

放課後、突然そう言われた。

「何でってお前、他の奴らと話してたやんか」

絋斗が言う。

「けいちゃんは俺のもんなの!!!
俺が居ないときはけいちゃんと話しちゃダメ!!!」

「我儘やなあ。慧祐はお前に気ィ使ってんねや。気付けや」

俺自身の事なのに、俺は何も言うことが出来なかった。
こんな時に自分の意見を言える絋斗が羨ましかった。

「慧祐も何か言ったれや」

「え、俺?!お・・・俺は、別に・・・」

二人が俺の事で話し合ってくれているのに、
俺は何も言うことが出来ない。なんて、無力なんだろうか。

「けいちゃんの馬鹿ぁあ!!!」

瑠嘉はそう言った。俺を殴る勢いだった。そりゃそうだ。
俺は、瑠嘉に何も言うことが出来なかったのだから。覚悟を決めて、目をつぶった。

それなのに、瑠嘉は俺を殴る事をしないで、その場を走り去った。

「何なんや、あいつ!!ムカつくわー!!」

絋斗が怒るのも無理なかった。
だけど、そんな風に瑠嘉の事を言わないでほしかった。
好きな人だからこそ。俺は、絋斗を置いて瑠嘉を追い掛けた。

「あっ、慧祐!!どこ行くねん!」

「瑠嘉んとこ!!!」

それを聞いた絋斗は、それ以上何も言わなかった。

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ