一日一本

一日一本(目標)
超短編
でもほんとは一週間で一本のほうが多いかもしんない!←
創作、夢、両方生存する予定。


コメおきがるに!
◆さあ、お逃げなさい。(ひだん※シリアス臭い) 

「――どうして?」

男の上に馬乗りになって、女は悲壮に顔を歪めた。
その手に握られた棒の先は、鋭く、深く、男の心臓を貫き、貫通すらしていた。
男は、マゼンタの瞳を細めて、極力優しく笑った。
憐れみを含んだようにも見えるその表情に、女は唇を噛んだ。

「なんで死なないのよ。」
「……オレだからだろうなァ。」
「……そんな頭の悪い答えしか言えないのね。」

女は静かに言って、諦めたような、呆れたような笑みを浮かべた。
もっとも、その瞳には悼みと悲しみの色しかなかったわけだが。

男の上から立ち退き、最後に一瞥をくれて、女はその場から、煙のように姿を消した。
深く息を吐き、男はただ広がる虚しいほどの青空を、瞳に受け入れた。
撫で付けた銀の髪が風に揺れることはなかった。




end



ひだんリハビリ

2011/05/31(Tue) 08:38

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