一日一本

一日一本(目標)
超短編
でもほんとは一週間で一本のほうが多いかもしんない!←
創作、夢、両方生存する予定。


コメおきがるに!
◆四度目の涙の後は(サソリ夢) 



彼女は泣いた。

愛した人が、感情を捨てたのだ。
感情を捨てた彼に、もう、彼女は必要でなくなってしまった。

でも、これで彼は永遠に生きられる。
だからいいのだと、彼女は涙をぬぐった。



彼女は泣いた。

死なない体になったはずの彼が、死んでしまった。
彼は最期まで、彼女のことはどうでもよかったらしい。

でも、最期は少し人間らしかったと聞いた。
ならばいいのだと、彼女は手をついて立ちあがった。



彼女は泣いた。

誰かのおかげで、少しの間だけ、彼が生き返ったらしいと聞いた。
それも、感情のある体で。

もしかしたら、もう一度。
彼女は涙を流しながら街を駆けた。



彼女は泣いた。

もう、彼に触れることはできない。
甦ることもない。
会えない、話せない、見ることすら許されない。

彼女は涙をぬぐうこともなく、ただ呆然と、日々を過ごした。




戦争が終わった頃

彼女は独り、亡くなっていた。
幼い頃の写真を握りしめて。




最も幸せだった頃を抱いて。









end



55巻が神すぎて。


 

2011/04/24(Sun) 23:19

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