裏話

□p11以降の
1ページ/5ページ




恩に着る。そう呟いて、扉の向こうへと消えたサソリと少女を見届けた香音は、ふと笑った。
階段を駆け降りる慌ただしい多くの足音を聞いて、あーぁ。と自嘲気味に溜息を吐いた。

「こんなハズじゃなかったんだけどな。」

そう呟いて、銃の撃鉄をあげる。
バタバタと騒がしい足音は、止む事を知らない。

「10…いや?20は居るか。」

呼びすぎだろ、と香音は一瞬だけ天井を見た。
階段に、警官のものらしい足が見えた。
香音は小さく息を吐く。
やがて地下に流れ込んできた警官が、コメカミを撃ち抜かれ、無様に横たわる美果の遺体を見つけて、息をのむ。

「綺麗に通ってるでしょう。 うちの製品で撃ったんですよ、ソレ。」

おひとついかがですか?と、茶化すように、香音は言う。
警官たちは一斉に彼女に銃を向けた。
香音は驚いたような演技をする。

「銃を捨てて手を挙げろ!」
「へぇ、サツも言うんだ。そういうの。」
「いいから捨てろ!」
「撃つぞ!」

警官の「撃つ」という言葉に、香音は目を見開く。
そして、にやりと笑った。

「撃つ? ふぅん。 撃てるんだ?」

氷の様な笑みに、警官たちの背に嫌な汗が伝う。
香音は続けた。

「撃つっていうのはね、撃たれる覚悟がある奴が言うんだよ――とは言わないけど。」

香音は警官たちに銃口を向ける。
警官たちに緊張が走る。

「……知らないよ?」

にこ、と笑って、香音は両手の銃を放った。
銃弾は前線の警官の手から、拳銃をはじいた。

「う、撃てー!」

誰かの掛け声で、警官たちは一斉に銃を放った。
銃が陳列されたガラスケースは粉々に砕ける。
香音は涼しい顔で、素早くそれらを避けて見せた。
かと思えば、時折発砲して、警官たちの手から拳銃を奪う。
紛失を防ぐためのゴムを同時に切ってしまうその鉛に、怯えながらも、警官たちはあらがう。


 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ