聖夜に響く「惑い惑わされ我等導かれん!」より
双子の朝ははやい。
なにせ今日はクリスマスだ。シュゼットはパジャマに上着を羽織るだけの格好でプレゼントに向かって狂喜した。
「アレク、アレク!」
「しー、みんな起きちゃうよ、静かにね」
跳び跳ねながら談話室に降りてきた妹をなだめてにこりと笑う。
双子は前から約束していた。クリスマスプレゼントを母とセブルスには届けようと。
アレクはせかせかと妹を着替えさせると二人で買ったプレゼントを持って寮を出た。
「おっはよ〜!セブルス!!」
早朝のホグワーツは寒い。そのくせこの子らは溌剌としている。
セブルスは朝から深いため息をついた。
「貴様らに休むという感覚はないのか」
まだ眠いのか少々不機嫌なセブルスにアレクがひょい、と差し出したのはこじんまりした青い包みだ。
「ふたりで選んだんだ。ね、」
「うん、そうなの!セブルスとお母さんには届けようって」
ニコニコと笑う双子になんだか悪い気はしなくておとなしく貰うことにした。
「じゃあ母さんの所いくからじゃね」
あっさり引いたアレクに少々不審に思いつつ、双子の残した包みを開く。
中には小さな箱。
それをあけると―――
大量の煙が吹きだした。
結果的にすっかりまっしろになった服を握りしめたセブルスは青筋をたてた。
「ふ―――ふざけるなっっ!!!」
今日も響くは笑い声。
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