お話

□籠の中の二羽の鳥。
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太陽が身を隠し夜の象徴がりんりんと妖しく光り輝く頃。
その光が、隙間から地下牢に降り注ぎ鎖で繋がれた竜の肌を薄く照らす。

ガシャン、

鍵の開く音が静まり返った地下牢に大袈裟な程に鳴り響く。
その音にぴくり、と繋がれた手首が揺れ、反応を示す。

「…またテメエか。」

潰れた喉たように掠れる声で呼吸混じりに敵意を示すと、中身とは逆に暖かいオレンジの髪色をした男は喉の奥で低く笑った。

「毎日毎日、ご苦労なこった」

ギロリと睨み付けるもこの男が動じるはずもなくただ微笑が深くなるだけ。

「訳わかんねーんだよ。
武田軍は俺の城を落とし、俺はあの場で息絶えるはずだった。
なのにそのテメエらは俺を捕虜として此処に連れて来た。
もう兵をもたない俺を捕虜にして何の利益がある。」

「さあね」

嗚呼、気にくわない。
ぎり、と奥歯を噛み締める。
もう兵をもたない俺は利用価値なんてないはず。
なのに捕虜にし、更には傷の手当てや食事まで。

目的を探るように男の瞳を睨みつける。

「嗚呼、理由ならあるかな」

「……」

「性欲処理?」

「っざけんじゃねえ!!」

拘束されていない足で蹴りあげると難無くその足を掴まれる。

「やっぱりずっと此処に居ると流石に筋力が衰えてくるね、凄く細い。」

「はな、せ…!」

「ねえ。
俺様、もうアンタ以外に勃たないんだ。」

「だから何だってんだよ…!」

「分かるでしょ?」

「っ嫌だ!」

「その顔、凄くそそる。」

「う、ぁっ…」

いつも笑顔で感情を覆い隠すこの男は、いつからここまで感情を露にするようになったんだろう。
まだ兵も城も全てがあった頃、何度か酒を交わした事がある。
その時は本当に優しく、そこに、全てに惹かれ身体を許した。
だけど、この男には俺が触れる事も許されない底しれない闇があって。
俺とこいつらが戦になった事でそれが溢れてしまったんだろう。

「あ、あ…、っ」

「は、っ…も、やば…」

「んく、はぁっ」

だけど、
その暗い感情すらも、今となっては惹かれるもの。
こいつに感化されいよいよ俺もいかれてきてしまったんだろう。
だけど、何故俺を捕虜にしたのか、それが理解出来ない。

そして、何故決まって事後の後には不安定になるのか。


「は、ぁ…」

余韻に浸り、活動を停止し始める身体。
薄れる景色の中この男の表情だけははっきりと見える気がする。

「ごめ、ん、ごめんね」

ぎゅうぎゅう、と抱きしめてくる。

「すきだよ、政宗。ごめん。」

「は、っ……あァ、大丈夫、」

「だけど、血…」

「ほっ、ときゃ治る」

「ごめん、」

かたかたと震える肩に手をまわす。

「死には、しねえよ、
お前が生きてる、限り…は」

ぷつりとゲームか何かのように意識が途絶えた。
佐助が何かを呟いたが聞き取れず、ただ頷いた。


じゃあ、一緒に死のうって言ったら死んでくれる?






(捕われてるのは、どっち?)


END
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