GO万ヒット記念
□2つの世界の革命者
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夕焼けのグラウンドに2つの足音が聞こえる。
1つは雷門中サッカー部1年の天馬、そしてもう1つは同じく1年の信助のものだ。
「んー!お腹空いたー!」
そう言って天馬が叫ぶと、その声に答えるかのようにお腹の音が聞こえてくる。
「じゃあ雷雷軒行く?ボクも今の音聴いたらお腹減ってきたし」
そう言って天馬の隣で信助が笑うと、恥ずかしそうにお腹をさすってそうだね、と相槌を打って空を見上げる。
「いてっ!」
その時、上から何かが降ってきて天馬の頭に当たった。
当たったそれは軽い音を立てて地面を転がっていく。
「天馬、だいじょ…」
それが何かを確認する前に2人は目を見張った。
一瞬手のひらサイズのサイコロかと思ったが、それは動きを止めた瞬間どんどんと大きくなり、今までとは違う形を成していく。
数秒のうちに、2人の目の前に4つの脚に支えられた1メートル四方の大きな箱が姿を現した。
「なっ…何だこれ?ビックリ箱…じゃないよね?」
「違うと思うけど…って、待ってよ天馬。近付かない方がいいよ…」
信助が止めるのも聞かず、天馬は恐る恐る近付いて上から覗き込んだ。
箱の内側には夜の風景が描かれ、それに囲まれる形で工場地帯を模した精巧なミニチュアセットが造られている。
何も変化が無いのを確認してから、信助もそろそろと天馬の隣に来た。
「ん、何だろうこれ?」
信助が不思議そうに手を伸ばし、箱の近くに落ちていた人形のような物を拾い上げた。
すぐ隣に同じような物が転がっており、それを天馬が拾い上げる。
「何かロボットみたいな人形だね」
「これ、プラモデルじゃない?プラスチックみたいな触り心地だし」
「ボクそう言うの全然詳しくないんだけど、最近のプラモデルってこんなに細かく出来てるの?」
「さあ?おれもそっち方面に関してはさっぱりだから…」
天馬が困ったように答えると、信助はだよね、と呟いて人形を角度を変えて観察する。
よく見るとそれぞれ形が違い、信助のはライフルを持った狼のような人形で、天馬のは白い鎧を着て大きな翼が生えた人形だった。
「それにしても、あんな小さい箱にどうやってこんな大きい物入れたんだろうね?」
信助が人形を箱の中に置いて天馬に訊ねてきた。
天馬も人形を置き、腕組みをする。
「…どう考えたって無理だよ。この建物一つだけで最初の倍以上あるし」
「じゃあどうやってこれは出てきたんだろう?」
「分かってたら信助に説明してあげてるよ」
不毛なやりとりになりそうだったので2人は会話をやめ、不思議そうに中を見つめる。
建物だけを見れば本物と見間違うほどのディテールで、材質も同じ物を使って造られているようだ。
「どうする、これ?」
「どうする、って言われても…」
返事に困った天馬が何気無く視線を別の方向に向けた瞬間、辺りがまばゆい光に包まれた。
たまらず手で顔を覆い、正体が何かを確認しようとしたがうっすらとしか目が開けられない。
次第に光は収まり、代わりに5人の少年と1人の少女が姿を現した。