『血籠の結ニ』
□プロローグ
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あの大雨の日に似ていて、辛い日々を思い出す。
貴方が俺を堕としていった…
アナタという…
――…甘い、誘惑に。
甘美なる味を教え、猛毒を吐いていった。
忘れても良かった。
忘れた方が、きっと幸せな日常を送っているに違いない。
だけど、大雨が降る度、問いかけるのだ。
『ほんの幸せな時間だったとしても、彼は愛してくれたじゃないか…』って。
愛してくれた?
俺を?
俺に誰かを重ねていたとかじゃなく、俺自身を愛してくれたのか?
沢山傷付けられ…
啼いたじゃないか。
涙が枯れるまで、大泣きをしただろう。
其さえも過去の名残とでも言いたいのか。
俺は、貴方に絡められ、堕ちたんだ…