『血の旋律シリーズ』鎮魂ノ翳リ〜
□紅く散る蝶と、抱く冥の華
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――天神界・椿城・薔薇庭園
「何を目撃したんだ?」
翼の科白に、天が首を傾げ尋ねる。
「玖羅様が末羅様をお姫様抱っこしている所を目撃したんですが…」
「――…やりますね」
「だな。流石、神楽帝きっての強者」
黒と旺は互いの顔を見て、こくこく頷く。
「そんなに…強者なのか?」
「羅淡様の祖父…流羅様ですら頭が上がらない方です。以前、羅淡様が言っていたのですよ…『玖羅は、神楽帝きっての強者だな』と…」
「まぁ、ある意味で…嫉妬深いですけど」
「…」
意味ありげな科白を吐く黒。何やら知っている様子だが、妙に微笑を湛えているので聞きにくい。
梓威は、再び黙り込む。
「玖羅様の事知りたいなら、羅淡様か影舜様に聞けば早いですよ!」